取材に疲れたとき 「誰もができない仕事」と考えてみよう

2023年4月30日

毎日のように人に会って取材するのは、もう疲れた

 新聞記者やライターが行う「取材」は、魅力的でやりがいのある仕事です。いろんな人の話を聞くことができ、場合によっては普段会えないような人と対面できることもあります。

 それでも、取材が立て込むと疲れますよね。特に新聞社に入社して間もない若い記者の皆さんは、1日が終わるたびにクタクタになっているのではないでしょうか。

 こんにちは、社長の藤田です。2002年から14年間、とある地方新聞社で記者職に従事。2021年からフリーライターとして活動しています。

 取材に疲れたとき、少し立ち止まって「誰もができない仕事だ」と考えてみてはどうでしょう。少しだけ自身がみなぎり、そして恵まれている自分の立場に気付くはずです。

 今回は、通算15年以上にわたり書く仕事をしてきた私が、取材に疲れたときに取るべきマインドセットについて考えてみます。

取材に疲れる要因

 取材に疲れる要因を、次の五つに整理してみました。

・きつい
・忙しい
・うまくいかない
・人間関係が悪い
・飽きた

きつい

 知らない人と会い、まとまった時間話を聞くのは、思っている以上にエネルギーを使います。取材が立て込み、さらにそれが難しい内容だったり、興味がない分野だったりすると疲れもたまります。

 また、「夜討ち朝駆け」など、取材対象者を家の前などで待ち伏せする取材だと、心身ともに披露はたまります。首尾よくいかなければ、疲労も倍増です。

忙しい

 新聞社でデスクやキャップからたくさんの取材を命じられた場合、疲れます。

 また、フリーライターは、仕事量が安定しているとは限りません。一定期間に取材が集中してしまうことがままあります。仕事は売り上げに直結するのでありがたいのですが、体へのダメージはじわじわと押し寄せます。

うまくいかない

 取材を受けてくれない、取材先と連絡が取れずアポが取れない、取材の内容が難しいなど、自分のイメージ通りに取材ができないときはストレスがたまります。

人間関係が悪い

 取材先と折り合いが悪い、上司や後輩と反りが合わないなどのケース。

 自由と思われているフリーライターの場合でも、仕事を依頼してくれるクライアントや取材先など、気を遣う相手は意外と多いです。

飽きた

 これもよくあるケースです。同じ取材を何年も担当していたり、同じような内容の取材を繰り返したりしていると、マンネリ化してきます。

二つの意味で「取材は誰もができない仕事だ」と考える

 それでは、取材に疲れたときの対策を考えてみます。

 根本的な対処方法として、記者やライターの仕事を辞めてしまうのが一番です。新聞社、出版社などに勤めているのならば、記者以外の仕事(営業、販売、総務、コールセンターなど)に異動させてもらうのも手です。

 しかし、さまざまな理由で記者やライターの仕事を辞めることができない人もいると思います。

 そんな場合は「自分の仕事は誰もができない仕事なのだ」と考えて、少しだけ踏ん張ってみてはいかがでしょうか。

 「誰もができない仕事」については、以下の二つの意味から考えることができます。

能力的に「誰もができない」と考え、誇りを持つ

 人から話を聞いて、分かりやすく文章にまとめるというのは、簡単そうで実はそれなりにスキルのいる行為です。

 フリーライターの中でも、取材が伴わないウェブライティングはバリバリできる人でも、いざ取材を伴うライティングになるとできなくなる人は結構いたりします。

 「こんなに忙しいのに取材をこなせている私(俺)は立派だ」と言い聞かせることで、自分に誇りを持つことができます。そうすれば、疲れがわずかながら和らぐのではないでしょうか。

条件的に「誰もができない」と思い、環境に感謝

 仕事に追われていると忘れがちになりますが、「取材を仕事にできる」というのは、とても恵まれていることです。

 世の中には、子育てや介護などで仕事をする時間や場所が制約され、「取材ライターをしたい」と思っていても、それがかなわない人が多くいます。

 また私もそうでしたが、会社組織の都合などで、意に反して取材ができない部署に異動するといったこともあります。

 そんな人を差し置いて、取材ができているというのは、考えようによってはとても幸せなことです。

 ツイッターなどのSNSでは、子どもの成長を間近で見て充実した日々を過ごしている一方、取材の仕事ができず、思い描くキャリアプランとの乖離にもどかしい思いをしている、といった発信をしばしば見かけます。

 こういった発信を見るたび、私はいろいろと考えさせられます。勝手に安定した会社勤めを辞めたにもかかわらず、妻をはじめ身近な人の理解をもらいながら、自由に取材し、自由に書いている自分はとても恵まれていると感じます。

まとめ

 今回は、取材に疲れたときの思考法として二つをあげました。

・能力的に「誰もができない仕事」と考え、取材することに誇りを持つ

・条件的に「誰もができない仕事」と考え、恵まれた環境に感謝する

 皆さんは、新聞記者やライターという仕事に、自ら望み志願して就きましたでしょうか。

 「いいえ」と答えた方は、すぐ辞めることを検討したほうがよいです。

 しかし「はい」という人がほとんどだと思います。希望する仕事ができるのは幸せなこと。少し考えて立ち止まり、それでも疲れが取れないようなら、次の進むべき道を考えてみてはどうでしょうか。