フリーライターの報酬 こうして決まってます ー後編ー

フリーランス

 フリーライターの報酬についての後編。今回は、価格交渉や価格の市場動向についてです。

 こんにちは、「かく企画」社長の藤田です。2021年に19年3カ月勤めた会社を退職。現在はフリーランスのライターとして活動しています。

 学歴も会社も頼れない時代、フリーランスという働き方について、漠然と憧れや魅力を抱いている人は一定数いると思います。そんな人たちのお役に立てればと、フリーライターの報酬についてスポットを当てた文章を書いています。

 前回は、フリーライターの報酬のうち、報酬額の基準や決め方、サラリーマンにとっては不慣れな見積もりについて解説しました。

https://kaku-kikaku.com/reward

 今回は後編ということで、前回同様、フリーライター3年目を迎える私の体験談を織り交ぜながら、つれづれに書いていきたいと思います。

フリーライターの報酬の価格交渉

 前回記事で、フリーライターの報酬額は、ライター側か見積もりを出す場合と、クライアントが決める場合とがあると説明しました。いずれの場合にも、価格について同意できない場合は、「もっと安くならないでしょうか」「もう少し報酬をアップしていただけませんか」などと価格交渉することになります。

報酬額を値切ってくるクライアントはほとんどいない

 ただ、私が見積もりを出したケースで、クライアント側から報酬額(クライアント側から見れば業務委託料)を値切ってきたケースは1件しかありません。その件も、結局端数程度を減額したくらいで、ほぼほぼ見積もり額で仕事を受けることができました。

 逆に、私が提示した見積もり額が低く、「藤田さん、そりゃないわ。ゼロが一つ足りない」と言って、報酬額を引き上げてくださったケースはあります。

 あらためて、良心的なクライアントに恵まれているなあと感じます。もっとも、良心的でないクライアントや自分自身の成長が得られないクライアントの案件はお断りしてきた結果かもしれませんが…。

自分から報酬アップを交渉したケースはこれまでなし

 逆に、クライアントが報酬額を決めるケースで、私から報酬アップをお願いしたケースは、これまでのところ絶無。フリーライターの中には価格交渉を行う人もいるようですが、私は行ったことはありません。

 主な理由は、面倒だから。そんなことに気を遣う時間があるのなら、1本でも多く執筆をこなす方がクライアントのためになりますし、ブログを書いたり、クラウド会計サービス「freee」に売り上げを記帳してほくそ笑んだりする方が自分にとっても有意義です。

 クライアントも熟慮の上、金額を提示しているはず。もし報酬が安いと感じ、やりがいや興味、関係性が継続するなどといった「お金で買えない価値」も見当たらない場合、その仕事は断ればいいだけです。



フリーライターの報酬額は上昇傾向?

 報酬額について、私自身は上昇傾向にあります。この文章を書くに当たって理由を考えたところ、以下の二つにたどり着きました。

・クライアントが単価を上げてくれている

・単価の低い仕事を断らざるを得ない

理由1 クライアントが単価を上げてくれている

 一つのクライアントの仕事をある程度務めると、クライアントがライターの仕事に信頼を寄せてくれるようになります。そうなると、クライアントが単価をアップしてくれる場合があります。

 また、折からのインフレ、円安、物価高により、光熱費など諸経費のアップ分を価格に転嫁していると見る向きもあるようです。

 この間も、あるクライアントが記事1本当たりの単価を2500円上げてくださいました。何の予告もなかったので驚きましたが、やはり報酬アップは正直うれしいものです。

理由2 単価の低い仕事を断らざるをえない

 フリーライターになって3年目となり、おかげさまで多くの案件をいただくようになりました。一方で、スケジュールや自分のキャパシティーの関係上、お断りする仕事が出てきているのが現状です。

 個人事業主である以上、報酬が高い仕事より、安価な仕事のほうをお断りすることが、経営者として正しい選択となります。

 もちろん、決め手になるのは報酬額だけではありません。自分の仕事に対する興味、やりがい、社会にどれだけ役に立つか、どれだけ多くの人に記事を読んでもらえるか、クライアントとの友好度、信頼度など、仕事を選ぶ基準は多岐にわたります。

 キザな言い方ですが、仕事には「お金で買えない価値」があると思っています。

まとめ

 2回にわたり、フリーライターの報酬について記述。価格交渉について、クライアントから値切ってくることはなく、私から価格アップの交渉をしたことがないと書きました。このことと矛盾するかもしれませんが、価格決定で大切なのはライター側の「主体性」です。

 主体性がないと、見積もりを提出することはできません。また、クライアントから金額を打診されている仕事についても、言い値に従って安い案件ばかり受けてしまうことになります。

 世間での報酬額の相場を把握し、自分の仕事に対する価値観をしっかり持つことで、満足いく収入が得られます。私もまだまだ精進していきたいと思います。