フリーライターの見積書 書き方のポイントは ー実物やエピソードも紹介ー
フリーランスにとって見積もりは、自分の仕事に対し、自分で価値を付ける作業。学歴も会社も頼れない時代、見積もりができるかどうかは、自分本位で仕事をするために必須のスキルと言えます。
こんにちは、社長の藤田です。2021年に19年3カ月勤めた会社を退職。現在はフリーランスのライターとして活動しています。
フリーライターとなった当初は、クライアント側から原稿料や報酬を提示され、こちらが同意して仕事を引き受ける、といったケースがほとんど。しかし、仕事を重ねていくうちに、契約成立の前に見積書の提示を求められることも多くなりました。
ただ、見積書の作成は思ったほど簡単な作業ではありません。20年近くの長きにわたり会社勤めをしていた私自身、他人に評価されることに慣れてしまっていたこともあり、自分の仕事に対し自分で価値を付ける見積書の作成にとまどっていました。今でも、どちらかと言えば苦手です。
今回は、私が実際に作成した見積書を紹介し、私が心掛けていること、見積書にまつわるエピソードを書いていきたいと思います。
見積書とは
こちらは、私が実際に提出した見積書をスキャンしたものです。諸事情があって実現しなかった仕事なのですが、飲食店などを紹介するリーフレットの取材でした。クラウド会計ソフト「freee」で作成。黒塗り部分は住所などを記載しています。相手と自分の住所氏名、自分の連絡先、金額(税込みか税抜きかを明記)は必要な項目です。
見積もりで大切なのは、仕事の内容、範囲をはっきりさせること。この場合、取材、写真撮影、執筆以外に取材先へのアポイントメントもこちらで引き受けるなど、備考欄に細々と明記しています。逆に言えば、これ以外の仕事は見積もり金額に含まれていないということです。
また、取材費、交通費、その他諸経費を含んでいるか、別途請求するかを書いていれば、後々のトラブルを回避することができます。
都道府県や市町村の役所関係、それに準じる団体など、公共性の高い組織からの案件で見積書を求められるケースが多いです。税金や組合費など、人から預かったお金で組織を運用しているので、お金の使い道の透明性を徹底しているためだと思います
作成で心掛けるのは「相場」「工数」「自分の価値」の把握
見積もり金額は、高すぎると仕事を依頼されなくなりますが、安すぎると労働力を買いたたかれることとなります。私が見積書の作成で心掛けているのは、以下のようなことです。
相場の把握
依頼される仕事は、世間一般の相場でどれくらいの報酬なのか。これを把握していれば、仕事を断られたり、安く使われたりすることが少なくなります。
「ランサーズ」「クラウドワークス」などのクラウドソーシングサービスなどには、依頼者の希望報酬額が記載されているので、相場観を確認するのに参考になります。ただ、クラウドソーシングサービスは安い報酬があまりにも多いので、最低額として捉えたほうがよいでしょう。
また、フリーライターや書く仕事を請け負っている法人のサイトには、文字単価や記事単価を掲載している場合がありますので、そちらも見てみてはいかがでしょうか。
工数の把握
「思ったより時間や手間が掛かった」「当初想定より業務範囲が広かった」―。ライターに限らず、フリーランスで仕事を行っていると、誰しもが思い当たるのではないでしょうか。
人間同士のやり取りですので、仕事の内容や業務範囲が当初の想定とずれてしまうことはある程度仕方がないこと。しかし、仕事を引き受ける以上、できるだけ齟齬をなくしておきたいものです。
「見積書とは」の項目でも書きましたが、事前に仕事内容をはっきりさせ、どれくらいの工数、手間がかかるかを把握しておくことが重要です。ホームページ作成ソフト「ワードプレス」への入稿、アポイントや初稿提出など取材先とのやり取り、クライアントとの打ち合わせなど、記事を書くこと以外の付随業務は意外とあります。
自分の価値の把握
自分の仕事やスキルは、世間一般でどれくらいの価値があるかを把握することです。例えばライティングの仕事の場合、文章の専門性、仕事の実績などにより、自分の仕事を値踏みします。
自分の仕事に対し、自分で価値を付ける作業。これが三つの心がけの中で一番大切ですが、一番難しい。私自身も、いまだに自分の価値を十分に把握できていないのが現状です。
見積金額を上方修正させられた話
自分の価値を十分に把握できていないゆえに、見積書の金額を上方修正されられた(していただいた)ことがあります。
それは、地域のイベントで使う地場産業に関するクイズの問題を作る仕事でした。作成問題数は100問以上。ファクトチェックなどの付随業務もありました。私自身、クイズの問題を作るのは好きなので、数万円でお引き受けすると決め、見積書を作成し、クライアントに提出しました。
その後、見積書を見たクライアントから電話がかかってきました。
「藤田さん、あの見積書は何ですか」。担当の方の言葉には、失笑が混じっていました。「あんな安すぎる金額でお願いすることができません。ゼロが一つ少ないですよ」
テレビ番組に携わるクイズ作家など、クイズの問題を作ることができる人は私以外にも世の中にたくさんいるので、それほど専門性が高い仕事とは思っていませんでした。
しかし、その地域の地場産業にある程度詳しく、かつクイズ問題を作成できる人は、よく考えたらそれほどいません。ひょっとしたら私が「世界ナンバーワン品質」だったかもしれません。
結局、ゼロを一つ増やしてお引き受けすることとしました。自分の価値を自分で分かってないゆえに起きた珍事でした。
まとめ ー見積書の作成に早く慣れようー
以上、フリーライターの見積書作成について、あれこれと書いてきました。
作成で心掛けていることなど、いろいろ書いてみましたが、自分の仕事に対し自分で価値を付る作業に早く慣れることが重要なのではないでしょうか。
学歴も会社も頼れない時代、他社からの評価だけに甘んじるのではなく、自分自身を評価し、第三者にプレゼンテーションする能力が重要になる。そのように考えています。
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