やらされ仕事にどう向き合うか
突然ですが、みなさんは「やらされ仕事」ばかりの毎日ですか?
若手の会社員であれば、かなりの方がそうかもしれません。年次や職種、企業で違いはあるとは思いますが、今回は、「やらされ仕事」にどうやって向き合うかについて、「かく企画」社員の仮面ライターが考えます。
やらされ仕事・雑用仕事
初めに、「やらされ仕事」とは何かについて書きたいと思います。
① 本人がやりたいとは思ってない仕事
② 誰かがやらなければならない仕事だが、創造性が発揮しにくい補助的な仕事
③ 手間が掛かるが面白みがない
④ 本来は別の人がやるべきだが、立場の弱さからやらなければならない
⑤ 早く正確に終わらせることをだけを求められる作業
大体、上記のような仕事を「やらされ仕事」と定義したいと思います。
書いておきながら逆のことを言うと、上記①~⑤で、それぞれの項目で100%当てはまる仕事は意外とないかもしれません。まして、すべてに該当する仕事というのを見つけられるでしょうか?
すべては、仕事をする人の気持の持ちようだと言ってしまえばそれまでです。
②の「創造性」、③の「面白み」などは、工夫のしようで変わる可能性はあります。
ただ、そもそも本人がネガティブな気持ちで仕事に取り掛かっている以上、なかなか「創造性」や「面白み」は見つかりません。
社外では通用しない?
こうした「やらされ仕事」ですが、転職して社外でも役に立つのでしょうか?
伝票処理などは、社によって手順や書式が違うかもしれません。そのまま役に立つことはありませんが、マスターしておけば、転職後、要領を得るには時間がかからないかもしれません。
社外でそのまま役に立つ仕事があるとすれば、今ならばAIのソフトなどが取って代わってしまうでしょう。
何かしらの仕事の核になることを身に着け、それを臨機応変にカスタマイズできれば、ジェネラリスト的な仕事で「再利用」出来る可能性はありそうです。
一般職からビジネス本のライターに
私が昔出会った人で、やらされ仕事を続けながらもチャンスをものにして、大学で教鞭を執ったりビジネス本を書いたりするまでになった女性がいます。
その方は女性で当時40代でした。大学を卒業し、総合商社に一般職で就職しました。
当時は、「総合職」と「一般職」で採用、昇進が分けられていました。一般職は、ほぼ女性。性差別的な意味もあると私は考えています。
総合職は、複数の職種を経験して幹部候補になるキャリアを積む。一方、一般職は定型的な一般事務をします。現在は、2つの職種をなくしたり、垣根を低くしたりしている企業が多くなっていると聞いています
私が知り合った女性が働き始めた頃、オフィスコンピューターの表計算ソフトで資料をまとめる仕事をやらされていたそうです。今では、マイクロソフトの「エクセル」が代表的です。
手書きだったのもが電子的に処理される。その入力を毎日のようにするという仕事です。
正直、おもしろくはなかったそうです。仕事も慣れてくると、ダメな総合職の男性たちが目に付き、情けなく思うこともあったと語っていました。
この方は、その仕事を結果的にかもしれませんが、熱心に取り組みました。
「表計算ソフトのことは彼女に聞け」と、社内では言われるようになりました。
それから数年後、縁があって、エクセルの入門書を書く機会が彼女に訪れます。最初は、小さな出版社から手伝い的に依頼されたところ、書いた説明がわかりやすいと評判になりました。
彼女は、いつも人の話をよく聞き、相手がわかるように自分の意見を説明する人でした。自分が得意な表計算について、上から目線で書いたりせず、「こういうふうに書いたら伝わるのかな」と考えて書ける人でした。
「利用しなくても利用できてしまった」
この方は、就職後に学び直し、私と出会った当時は大学で教鞭を取っていました。研究分野はエクセルとは関係ありませんが、副収入として時々、ビジネス本を書き、大学でも教えるという生活を送っていました。
他にも、一般職だった女性がキャリアチェンジをして「成功した」という例を知っていた私は質問をしました。
「勤め先を利用するために、しっかり学ぼうと思ったのはいつからですか?」
「利用しようと強く思ったわけではないけれど利用できたという感じかな」と、彼女は言いました。
この方の場合は、次のようなことが「やらされ仕事」から「成果」を生んだ要因だと考えます。
① 処理仕事だが当時先端だった電子的な書類処理を担当
② 人の要望を理解する能力に長けていた。もしくは、そのような能力が仕事で伸びた
③ キャリアを変えようと、学び直しをする中でいろいろな人に出会うチャンスが生まれた
④ 学び直しの中で文章が上達した
先を見通して できないけれど……
キャリアの変遷というのは、運もあるのかもしれません。それは、昇進と似ているようにも思います。
必ず成果が得られるかを考えると、どの仕事もつまらなくなってしまいます。一方で、「将来役に立つから」と言われ続けてやっていた仕事なのに、リストラされたて新たな道を歩んだら、大幅年収ダウン。さらにキャリアを生かして転職したはずなのに、自分に合わない仕事をするということもあります。
今回紹介した女性の話から何を得るかは人それぞれです。
この記事を書き、この方が口にしていた言葉を思い出しました。
「(総合職と一般職が)職業差別と言われればそのとおりだった。でも、それが当たり前の時代だった。肩肘張って男に勝つんだとか思ったりわけではなかったけど、日々の仕事を自分なりにやっていたら、本を書いて、大学で教える立場になっていた」
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