フリーライターをしていて「なんか違う」と感じている人へ 「15%」が生むイノベーション

働き方

 こんにちは。「かく企画」社長の藤田です。地方新聞社に記者や営業として19年勤めたのち退職。現在はフリーランスのライターとして活動しています。主に新聞やウェブの広告、求人サイト、経済関係の機関紙などに記事を執筆しています。

 「やりたい仕事ができていない」「思っていたのと違った」。フリーライターとして働いていて、このような違和感を覚えている人にこの記事を読んでほしいと思います。仕事が充実して何の不満もない方は、得られるものが全くないと思いますので、離脱していただいて結構です。


 ライティングの依頼をいただくことは大変ありがたいことです。執筆することでクライアントのお役に立ち、ひいては読者や地域、社会に貢献することにもつながります。

 しかし、自分が本来やりたいと思っていた内容からかけ離れていることも珍しくありません。会社を辞めてフリーライターとして働き始め、あるいは副業でライティングをしているものの、理想と現実のギャップに悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

 そこで今回は、仕事時間の15%を自分の好きなことに充てる「15%カルチャー」を紹介します。フリーライターの自己実現に向けたヒントになればうれしいです。

仕事時間の15%を好きな研究に使える

 「15%カルチャー」とは、世界的な化学・電気素材メーカーである米国3M社で実践されている企業文化の一つです。

 この取り組みでは、仕事時間の15%を自分の好きな研究開発や行動に使うことができます。将来的に会社に貢献する可能性があれば、テーマは自由。本来業務と異なっている取り組みでもかまいません。

 正式な制度というより、企業全体に根付いた不文律のようです。この文化のもとで、社員たちは自由な発想を生かしながら野心的な取り組みを行っています。

 この取り組みは、IT大手のグーグル社など他の企業にも受容され、日本では総合商社の丸紅が似た制度を導入しています。

おなじみの「あの製品」も15%カルチャーの賜物

 この15%の時間は、皆さんもおそらく使ったことがある“世界的商品”を生み出しました。メモをしたり、伝言を残したりするのに便利な「ポスト・イット」です。

 3M社のスペンサー・シルバー3世研究員(1941-2021)が接着剤を開発中、非常に弱い接着剤を作ってしまいました。普通なら失敗作として葬られる運命でしょうが、別の研究員であるアーサー・フライ氏(1931-)が興味を持ち、15%カルチャーで確保した時間で製品開発。1980年に発売され、現在でも使われるロングラン商品となりました。

 余談ですが、「ポスト・イット」は3M社の登録商標。普通名詞への言い換えとして「付箋紙」などの表記があります。

フリーライターの仕事にも応用できる15%カルチャー

 ライターもこの「15%の考え方」を取り入れることで、好きなことに没頭する時間を作ることができます。日々の仕事、自分のキャリア、将来像を見つめ直すきっかけになるのではないでしょうか。

 15%の時間は、例えば、以下のような活動に充てることができます。

ボランティア活動

 ボランティア活動に参加することで、社会に貢献できるのは言うまでもありません。それだけでなく、

新たな価値観や人脈を得られる絶好の機会となります。異なる環境での体験は、記事やコラムの新しい着想をもたらすこともあります。

 ボランティア活動は「与える」だけでなく、自身の成長や新たな切り口の発見という「受け取る」要素も多い貴重な時間となります。

資格の勉強

 資格取得はライターとしての専門性を高めるだけでなく、クライアントからの信頼を得る手段となります。また、他のライターとの差別化にもつながります。

 「15%」という明確な目標を立てることで、勉強に費やす時間を計画的に確保することができます。自己投資を続けることで、長期的に自分のキャリアを有利に導くことになるでしょう。

 資格については、このブログにおいてたびたび書いていますので、ぜひご覧下さい。

セミナーの開催

 自身の知見やノウハウを、セミナーやウェビナーを通じて第三者に還元する人が増えています。

 「教える」ということは、言葉で表現できない「暗黙知」を、言語化した「形式知」に変換すること。知識や経験を体系化し、自分の理解をさらに深めることにもつながります。

 また、参加者との交流を通じて人脈を広げ、新たな視点やニーズを知るきっかけとなります。イベントの企画・運営のスキルも身に付くでしょう。

ブログ執筆

 ブログは、自宅にいながら一人で始めることができるので、在宅ライターが15%カルチャーを利用して取り組むのにうってつけ。書くスキルだけでなく、発信力や思考をアウトプットする力が身に付きます。記事をアップする際に読者層を想定することで、マーケティングのスキルも上がります。

 継続的に記事を公開し、読者を増やすことで広告収入が得られます。さらには、新しいライティング案件を獲得できる可能性もあります。

ルポや小説など

 「書くこと」をさらに究めるのも有意義です。興味のあるテーマを取材してルポルタージュやノンフィクションを書いたり、気になる人物にアポを入れてインタビューをしたりなど、自分が本来書きたかったものを書くのはいかがでしょうか。

 書籍として日の目を見れば最高ですが、ネット書籍を出したり、自身でウェブメディアを立ち上げて発表したりする手段もあります。

 また、小説を書くこともおすすめ。15%カルチャーで執筆時間を確保し、毎日少しずつ文章を紡いでいれば、いつか長編を完成させることができます。

新事業の立案・実施

 動画編集、ハンドメイド販売、株式投資など、ライティングとまったく関係のないことに取り組むことで、新たな可能性を見つけることができるかもしれません。

 企業の成長戦略を練る際に使われる思考法に「アンゾフの成長マトリクス(または成長ベクトル)」というフレームワークがあります。製品、市場それぞれの新旧により、経営戦略を四つの種類に分けたものです。

 詳しくは上記リンクを参照していただければと思いますが、新事業の立案・実施は、新規市場に新規製品を投入する「多角化戦略」に該当します。自分の経験や得意分野を発揮できないリスクがある一方、新たな事業分野に進出するチャンスになり得ます。

具体的に15%を確保する方法

 15%とは、具体的にどれくらいの時間なのでしょうか。

・1日の労働時間が8時間…1.2時間

・1日の労働時間が10時間…1.5時間

・週6日労働…およそ1日

 「意外と長い」と思われた方も、あるいは短い感じた方もいると思います。

 1日の労働時間が8時間だとしたら、72分を自分の好きな取り組みに充てることとなります。まとまった時間である必要はなく、例えば空き時間や手待ち時間をトータルして72分を確保する、といった具合でもよいと思います。

 1日でなく、それ以上のまとまった時間単位で考える方法も。1週間のうち、平日は通常業務に集中し、1日を「15%カルチャーの日」として好きなことに利用、残りの1日を休日とする、というサイクルも有効です。

まとめ 「15%」が生むイノベーション

 今回は、フリーライターの自己実現に向けたヒントになる「15%カルチャー」についてご紹介しました。会社などの組織に縛られないライターならば、やる気次第できょうからでも実行できます。当面は収益が出ないかもしれませんが、長期的に続けることでお金につながる可能性もあります。

 労働時間の15%を好きなことに投資することで、これまで考えもしなかった仕事や収入源を見つけるきっかけになるかも。「イノベーション」と言えば大袈裟ですが、イノベーション的なものを得る可能性はあると思います。

 「なんか違う」と感じたときこそ、「15%の時間」を意識してみてください。それが、やりたい仕事を実現する第一歩になるはずです。

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Posted by かく企画