本や長い文章を書く人必見「ブックライターの本」

2023年3月30日

 今回は、書籍を出したいと思っている人や長い文章を書きたいと考えている人にぜひお勧めしたい1冊の本を紹介します。

 こんにちは、「かく企画」社長の藤田です。2021年よりフリーライターの仕事をしています。ニュースサイトや企業のサイト、機関紙などで取材記事やコラムを執筆したり、紙媒体やインターネットサイトでインタビュー記事や求人広告などを書いたりしています。

 フリーになる前は新聞社に勤務。就職してから半分以上の期間、文章を書く仕事に従事していることになります。

 仕事をしていると「よくそんなに文章が書けますね」「書く仕事って大変ですよね」と言われることがあります。文章を書くことに対して苦手意識を持っている人は、私の想像以上に多くいるようです。

 また、文章を書くことが得意な人でも、5000字、1万字といった長い文章になると身構えたり、実際に書いて苦戦したりするのではないでしょうか。

 そんな人たちに対し、上阪徹さんが書いた「職業、ブックライター。」という本を紹介したいと思います。長い文章が書けるようになる、さまざまなヒントが込められた本です。

ライターが書く文章の長さはさまざま

 本の紹介に入る前に、記者やライターが書く文章の長さについて考えてみたいと思います。

 私が普段仕事で書いている記事やコラムは、大体1本当たり1000字から2000字のものが多いです。学校などでよく使われている400字詰め原稿用紙に換算すると5枚以内。意外と短いと感じた人も多いのではないでしょうか。

 もちろん、これより短い文章の作成を引き受けることもあります。かつて作成した観光地の紹介記事は400字、クイズの問題は100字前後。もっとも、数十本から100本以上まとめて依頼いただき、通算だと1万字以上になることが多いです。

 長い文章だと1本3000字、5000字になることがあります。紙幅に制限がある新聞や本、パンフレットなどの紙媒体と異なり、ネット媒体は基本的に文字数の制限がないので、長くなる傾向にあります。私はあまり引き受けたことがないのですが、1本1万字を超える記事もざらにあるようです。

 ただ闇雲に書いていると、同じ文章の中でつじつまが合わなくなったり、同じ事を何回も書いたり、規定の文字数に届かなかったりということが発生します。短い文章でもそうですが、長い文章になるほど、文章構成がより重要になります。

幽霊が本になってしまった

 「職業、ブックライター。」の著者である上阪さんは、経営者、俳優、スポーツ選手など3000人以上にインタビューした経験を持つ人です。本書のような文章の書き方についてハウツー本や有名・著名人のインタビュー集を出す一方で、自著以外の書籍の執筆を代行しています。

 この書籍の執筆を代行する仕事について、世間一般では「ゴーストライター」と言われることが多いですが、上阪さんは「ブックライター」という新しい呼び方を提唱しています。

 ゴーストライターというと、どうしても負のイメージがつきまといますが、上坂さんはこの仕事について、有名人や成功者の知見について、書籍を通じて本人に代わって世に広める仕事、と位置づけています。

 そしてなんと言っても驚くべきなのは、旺盛な執筆量です。この本によると、上阪さんは月1冊のペースでブックライティング/ゴーストライティングをしているとのこと。一般的なビジネス書や新書文字数は約10万字と言われています。執筆のために最低10時間のインタビューをこなし、さらに構成、推敲などの作業が伴うことを考えると、すさまじい仕事量と言えます。

長い文章を書く上でのヒントが満載の書

 「職業、ブックライター。」では、本の執筆におけるノウハウが満載。素材を集めることに重きを置き、執筆は全仕事量の3割程度とすること▽取材前の入念な準備▽取材のテープ起こし資料の整理法▽文章は一気に執筆し、最初から完成形を目指さないこと―など、有料級の情報をもったいぶることなく披露しています。

 この他、本を執筆する仕事の楽しさのほか、出版社や編集者との関係、仕事に対する心構えなど、ブックライター/ゴーストライターという仕事についても余すことなく記述。公にされることが少ない仕事だけに、内容を詳しく知ることができる点で大変貴重です。

 フリーライターである私自身、すでに心掛けていることもあれば、新しく自分の仕事に取り入れたいと思った内容もありました。書かれているノウハウについては、概ね同意できるもので、自分の仕事の方法を見つめ直す良い機会を与えてくれた本でした。

 この本は6章構成ですが、特に3章から5章にかけて書かれている執筆のノウハウの部分は、ブックライター/ゴーストライターを目指す人のみならず、自著を書きたいと思っている人、長文のライティングができるようになりたい人にとっても参考になる情報だと思います。実践したり、自分なりにカスタマイズしたりすることで、きっと書くことが苦にならなくなると思います。

まとめ

 おすすめした「職業、ブックライター。」ですが、刊行が2013年で、一般の書店では入手がしにくいようです。ただ、図書館によっては置いていることもあるようなので(私もよく行く図書館で借りて読みました)、興味のある方は探してみてはいかがでしょうか。

 しかし文章を書く仕事をしている人間にとっては、借りるだけでなく、ぜひとも座右に置いておきたい書です。

本の紹介

Posted by かく企画