ちょっとした言葉を「潤滑油」に ー取材でよく使うフレーズ7選ー
新聞記者はもちろん、フリーライターにとっても、取材のためにインタビューをする機会があると思います。しかし、文章作成のために人から話を聞くという行為は、簡単そうで実はそれなりにこつが必要です。
こんにちは、社長の藤田です。2002年から14年間、とある地方新聞社で記者職に従事。2021年からフリーライターとして活動しています。
今回は、通算15年以上にわたり書く仕事をしてきた私が、インタビュー取材などでよく使っている七つのフレーズについて紹介したいと思います。
インタビュー取材では、興味深い話を引き出すスキルだけでなく、取材対象者に対する敬意が必要。今回のフレーズは、いずれも相手への敬意を示し、取材をスムーズに進める「潤滑油」としての言葉です。
七つ目には、普通の神経をしている人では思いつかないであろうフレーズを用意していますので、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。
取材をスムーズに進める「潤滑油」のフレーズ
それでは、取材をスムーズに進めるためのフレーズを、開始時→中盤→佳境、と時系列に沿って紹介していきます。
「本日はお時間をいただきありがとうございます」
初対面の取材対象者と会った際、訪問の場合はまず名刺交換を行い、オンライン取材の場合は始めに氏名を名乗ると思います。
その後すぐ、取材に時間を割いてくださったことに対する感謝の言葉を伝えるようにしています。
企業のトップなど、取材の対象となる人は忙しい人が多いです。宮尾すすむさんのように社長を持ち上げる必要はありませんが、まずは謝意を示すようにしています。
「できあがった原稿は確認していただきます」
インタビューでは、取材に慣れている人ばかりから話を聞くとは限りません。取材に不慣れで、何を話せばよいのか、いらないことを言ってしまわないかと不安に感じている場合があります。
まずは取材の冒頭で、掲載前に記事の内容をチェックしてもらうことを伝えて不安を解消し、ざっくばらんに話を聞くことができる雰囲気を作るように心掛けています。
ただし、新聞記者の取材など、掲載前に記事の内容をチェックしてもらわない場合は、この言葉は使ってはいけません。私も報道の取材では使いません。
「電話が鳴ったら出ていただいて結構です」
中小企業の経営者、社長ひとりの会社、個人事業主など、人手が少ない企業を取材する場合、電話が鳴ったら出ていただくようにあらかじめ伝えています。
相手をおもんぱかる言葉のようですが、これは自分のアンガーマネージメントのためだったりします。
取材中に電話がかかってきて、何の断りもなく取材対象者が電話に出ることがあります。理屈では「忙しいんだから仕方がない」と思っていても、人間ができていない私はどうしてもイラッとしてしまうのです。
電話に出るように自分から伝えておくことで、イライラを少しでも軽くしています。
「意地悪な質問をするのですが…」
取材を進めていると、前の発言と後ろの発言で矛盾点が出ることがあります。それをそのまま記事にしていては、一貫性のない文章になってしまいます。
そんなとき、単なる揚げ足取りだと思われないように使っているのがこの言葉です。
また記者時代、行政の取材などで担当者が苦しい言い訳を聞くことがよくありました。組織を守るために必死なのはよく分かるのですが、そのまま記事にしていては話になりません。そんなとき、この言葉を添えつつ、突っ込んだ質問をするようにしていました。
「これまでのお話と重複するかもしれませんが…」
インタビューでは、あらかじめ用意した質問事項に沿って話を聞いていきます。お互い準備をしていても、興味の湧くような話を引き出すことができないことがよくあります。
かといって、全く同じ質問を繰り返すのも気が引けます。実際、同じような質問をすると「それは先ほどお話ししたとおり…」と不機嫌になる人は少なくありません。
そんなとき「これまでのお話と重複するかもしれませんが」と添えて、少し質問のフレーズを変えることで、相手の不機嫌を軽減することができます。取材対象者もこちらの意をくんで、これまでと違う言葉や切り口で話をしてくれることもあります。
「お話しできる範囲で結構です」
企業、特にものづくりの現場を取材する際、技術などの企業秘密になり得るものを質問することがあります。その際にこの言葉を添えれば、取材対象者に安心感を与えることができます。
個人に対してのインタビューで、失敗談などを聞いた際に相手が口ごもった場合にも使うことができます。逆に、あえてこのフレーズを使わず、失敗談を引き出すことも記事の中身を充実させるテクニックです。
「 」
見出しに何も書かれていませんが、「沈黙」を意味します。
質問を投げかけた際、取材相手が回答を考え込んで、沈黙になる場合がよくあります。
会話において、人間は沈黙を恐れます。「何とか間を持たせなければ」と思い、口を挟んでしまったり、質問を変えたりすることはないでしょうか。
しかし沈黙をしてまで考え込むことは、相手がそれだけ問いに真摯に向き合ってくれているということ。そんな場合、こちらもあえて何も言わず、相手にじっくり考える時間を与えることで、重要な答えを引き出すことができるかもしれません。
会話のキャッチボールと例えられるインタビューですが、時には球を投げずにじっとすることもテクニックとなります。
まとめ
今回は、インタビュー取材などでよく使っているフレーズの紹介でした。以下にまとめます。
・本日はお時間をいただきありがとうございます
・できあがった原稿は確認していただきます
・電話が鳴ったら出ていただいて結構です
・意地悪な質問をするのですが…
・これまでのお話と重複するかもしれませんが…
・お話しできる範囲で結構です
・「 」
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