ブログ・社内報・会報で共感する文章を演出する「固有名詞」

フリーランス

社内報を作らなければいけないのだが、みんなが納得する文章を書きたい

読み手に共感や親近感を持ってもらう文章を書きたい

文中に固有名詞を入れて具体性を持たせることで、共感や親近感を得やすくなります

 こんにちは、社長の藤田です。2002年から14年間、地方新聞社で記者職に従事。2021年からフリーライターとして活動しています。

 文章について、読み手に親近感を持ってもらう方法はいろいろありますが、今回は、文中に固有名詞を入れることについて考察します。

 読者の共感や親近感を生む文章は、SNSなどで紹介されると多くの人の目に触れることになります。その結果、クライアントや取材先の信頼を受けたり、ブログのファンを増やしたりすることにつながるのです。

 またこの方法は、全国紙より地方紙、ミニコミ誌より町内会報など、読み手が限られている文章ほど効果を発揮。社内報の原稿執筆を担当している人や、サークルの会報の編集を任されている方などにもお役に立つと思います。

文中で出すと効果的な固有名詞3選

 新聞や雑誌、ネット記事などのインタビューなどを読んでいて、「あっ、この人同じ都道府県の出身だ」「同じ大学の4つ先輩だ」などと親近感を持ったことはありませんでしょうか。

 もし出身校や出身地が書かれていなかったら、たくさんある記事の一つとして流し読みをしてしまい、すぐに記憶の彼方に葬り去られていることでしょう。

 本文やプロフィールの中に固有名詞を入れると、その人のパーソナリティーや魅力が引き立ちます。所属や出身、思想などが同じ場合、読み手に共感を与えることができます。

 取材や執筆で、特に意識したい固有名詞を三つ挙げてみます。

出身地・出身校

 前述の通り、出身地や出身校は人間のアイデンティティーの構築に多大なる影響を及ぼしています。「学歴も会社も頼れない時代」にもかかわらずです。

 私は四国のある片田舎の出身ですが、テレビを見ていて俳優の要潤さん(同じ市の出身、中学校区が隣)やものまねタレントのガリベンズ矢野さん(高校が同じ)が出ていると、妙に親近感が湧きます。

愛用商品

 好きな食べ物、通っているお店、継続して買っている服や靴など。文章のテーマに応じて、取材でいろいろ聞いてみてはいかがでしょうか。

 くだけた取材やインタビューの場合、例えば好きな外食店やメニューを文中に入れると人となりがよく伝わります。

恩人・尊敬する人

 スポーツ選手へのインタビューなら尊敬している指導者や目標にしている選手、文章を書いている人なら好きな作家や文豪などを聞いてみてはいかがでしょうか。

 特に経営者へのインタビューでは、尊敬する企業家・偉人というのは定番質問。スティーブ・ジョブズ、松下幸之助、孫正義、永守重信、前澤友作…。出てくる人によって、その人の経営思想がよく分かります。

 (ここに名前を列挙していることにより、必ずしも賛同の意思を示しているとは限りません)

地域密着メディアほど固有名詞を入れよう

 本文中に固有名詞を出すことは、地域密着メディアほど効果を発揮します。

 たとえば高知県の山田高校の卒業生インタビューが新聞に掲載されたとします。全国紙なら注目する人も少ないでしょうが、地元紙の高知新聞だと同校出身者も多く、親近感を持って記事を読む読者は多いはずです。

 私もかつて地方紙で記者をしており、今でも時折地方紙からお仕事をいただきますが、文章にはなるべく出身地や出身校などの固有名詞を入れるようにしています。

 地方紙より読者が限られる郷土紙、ミニコミ誌、社内報ならさらに効果を発揮します。

ブログでも

 また、ブログの記事にも固有名詞を入れると、訴求力のある記事に仕上げることができます。自前のメディアで、広告主・スポンサーに気を遣うことも少ないことから、すぐにでも実行できると思います。

 自分の愛用商品や、尊敬する人、好きなタレントなどについて書いてみてはいかがでしょうか。同好の士が記事を拡散してくれるかもしれません。

固有名詞を出す際に注意する点

 一方で、固有名詞はプライバシー性が高い情報であるゆえに、取り扱いに注意が必要です。

 インタビューをしていると、固有名詞を出したがらない取材相手に出会うことがよくあります。不祥事の追及などといった特殊な取材の場合を除き、本人が嫌がっている情報は無理に引き出さないほうが賢明です。

固有名詞で引き込まれる三谷ドラマ

 最後に、三谷幸喜さんが脚本などを担当したドラマや映画について触れたいと思います。

 三谷作品は、思わずクスッと笑ってしまう固有名詞が満載。それゆえに、話の世界に引き込まれます。

 例えば、映画の『ラヂオの時間』。大阪在住の方なら、舞台となっている放送局「ラジオ弁天」は、弁天町にあるラジオ大阪を、登場人物の「浜村錠」は朝のラジオ番組でおなじみの浜村淳さんがモデルであろうことが想像できると思います。

 別の映画『THE 有頂天ホテル』に出てくる政治家・武藤田勝利も、どこかで聞いたような名前ですね。テレビドラマでも、『古畑任三郎』のボーズヘッド荘、『王様のレストラン』の居酒屋大自然など、脳裏に残る固有名詞が多く、枚挙に暇がありません。

 あくまで私見ですが、心に残る固有名詞が視聴者を三谷ワールドに引き込む役割を果たしていると考えています。

まとめ

 今回は、文章の読み手に共感や親近感を持って固有名詞についての考察でした。まとめです。

文章に固有名詞を入れることで、読者の共感や親近感を生む

<効能>
・共感や親近感を生む文章で、クライアントや取材先の信頼アップ
・ブログのファンも増える可能性
・地方紙や社内報など、読み手が限られているメディアほど効果を発揮

<文中で出すと効果的な固有名詞>
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