短すぎたライターとしての全盛期 ーフリーライターの定年(後編)ー

フリーランス

 前回、「ライターは歳を取るとできない。60歳くらいが潮時だ」という自説を展開し、各方面からさまざまなひんしゅくを買うことになりました。

 こんにちは、社長の藤田です。

 私は現在、企業などに赴いて取材し、執筆する仕事をしていますが、続けられるのは60歳くらいまで。長くても65歳くらいまでと考えています。

https://kaku-kikaku.com/retire1

 このことについて当ブログに書いたところ、いろいろなご意見、ご感想(特に論拠が甘い、という意見が目立ちました)をいただきました。

 それでも私は、フリーライターに定年がないというのは幻想だと思っています。今まさにライターの仕事をしていて、加齢に伴って体力は落ち、筆力も落ちるまではいかなくとも何とか横ばいを維持していると痛感しています。

 今回は「フリーライターと定年」の後編として、短すぎた自分のライターとしての全盛期を振り返りつつ、若いときのように仕事ができない現在の葛藤を暴露。そして老境に差し掛かった後の仕事について考えてみたいと思います。

短かった「我が世の春」

 振り替えるに、私のピークは体力的に30歳前後、筆力的には36歳前後だったのではないでしょうか。いずれも記者として新聞社に勤めていた時代です。

30歳が体力のピーク

 30歳のころは、怠惰な私の人生の中で、一番働いていたと断言できます。当時2人だけの小規模な部署に配属されていたのですが、人員の見直しで私1人に。当然仕事が減るわけでもなく、今までの2倍近く働くこととなりました。

 それでも、体力的には何ら問題はありませんでした。長い特集記事を書くのに、日付が変わるころまで仕事をすることは珍しくありませんでしたし(当然労働基準法違反ですが…)、事件や事故、山火事や自然災害の取材で一晩くらいは徹夜をしても平気でした。きつかったですが、非常にやりがいを感じて働けていました。

筆力のピーク、36歳

 36歳のころは、ようやっと自分の思うように記事が書けるようになった時期です。上司から記事を突き返され、修正を命じられることが多かった私ですが、それもこの頃にはしだいに減っていき。取材をした内容を的確に文字にすることについて、何ら苦痛を伴わなくなりました。

 例えば講演会の記事を書くとき、私は講師が話し始めるのと同時に記事を書き始め、終わると同時に記事を完成させていました。話している内容を文字に起こすのではなく、講演を聴きながら要点だけをピックアップし、まとめていくのです。約1時間の講演が終わったころには、千数百字の講演要旨ができあがっていました。

 「この仕事は、キャップを担当する40歳前くらいが、一番面白い」

 新聞記者時代、ある上司から言われた言葉です。キャップとは、取材現場でリーダー的な役割を持つ記者のこと。ニュースを自在に紡ぎ出すことのできる充実感がこもった言葉だと、今も心に残っています。

 ひょっとすると、あまり出来の良くない私でも、仕事の醍醐味が分かりだしているのだろうか-。不遜ながら、この頃はそんな思いも頭をよぎっていました。

 その後ほどなくして、記者職から営業職に異動。ささやかな「我が世の春」はあっという間に終わりました。その後については、別に書いていますので、そちらをご参照ください。

https://kaku-kikaku.com/introduction2/

いまの自分、ピークはとうに過ぎた

 そして会社を離れ、およそ5年のブランクを経て、フリーライターとして書く仕事に返り咲きました。

 取材のたびに新たな発見があり、知的好奇心がくすぐられることは、新聞記者時代と変わりはありません。取材したことを記事にまとめ、クライアントに納品し、それが多くの人の目に触れ、社会の役に立つことにやりがいを感じています。

 ただ、新聞記者をしていた頃と比べると、筆力的にも体力的にも落ちていると感じます。

取材音源を聞き直して執筆

 特に、取材で聞いたことを記録、記憶する力が特に落ちています。かつては取材の際に録音しなくてもノートにさらさらさらっと書いていたのですが、今はメモが追いつかないことがあります。「あれっ、あの部分は何を話していたっけな」と取材音源を聞き返すことも多くなりました。

 講演要旨をいとも簡単に書いていた往時の見る影もありません。

 書く文章も、かつてのほうが面白いかもしれません。「非常によくまとまっているのですが、もう少し面白くなりませんか」「もっとこの要素を文章に入れてほしかったのですが」とクライアントから言われることもあります。

薬は毎朝4錠、昼夜各3錠。だるい、足が痛い、首が痛い…

 体力は本当に落ちたと思います。今はよほど納期が切羽詰まっていない限り、徹夜をすることはほとんどありません。というか、できません。たまに夜遅くまで記事を書くと、翌日はとてもつらいです。

 県外に泊まりで、あるいは日帰りで取材に行った際には、数日間、体のだるさが続くときがあります。

 通院することも多くなりました。以前、痛風発作で足に激痛が走り、病院に行ったことについて書きましたが、この原稿を書いている現在、毎朝4錠、昼と夜に各3錠の薬を飲んでいます。さらに、数週間前から首が痛く、毎週1回リハビリに通っています。

https://kaku-kikaku.com/gout/

 自営業で文章を書いている以上、仕事に関してネガティブなことは書きたくないのですが、正直に書きます。

 ライターとして、私のピークはとうに過ぎています。

まとめ ー「あらゆることに打って出る!」とポジティブにー

 繰り返しとなりますが、取材記事の執筆、ブログの執筆と、「書く仕事」に対し、やりがいを持って取り組んでいます。

 しかしいつまでもこの仕事を続けられるとは思っていません。思うようにできないことが年々増えているように思います。「いつまでも あると思うな 書く仕事」と標語をつくり、60を過ぎて何の仕事ができるかな、などと思いにふけることもあります。

 ただ「仕事ができなくなる」とネガティブに考えるのではなく、「他のことに打って出る良い機会だ」と前向きに捉えることが大切だと思っています。

 ジタバタしながら、いろいろなことにチャレンジしていきたいと思います。