「社会人基礎力」は必要か? 

 こんにちは、社長の藤田です。

 このブログを運営する「かく企画」は、私こと社長の藤田、それに社員の仮面ライターさんの二人による会社という設定で、働き方や書くことなどをテーマに広く情報を発信しています。

 突然ですが、皆さんは「社会人基礎力」という言葉をご存じでしょうか。「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」とのことで、経済産業省が2006年に提唱した概念です。

 「基礎力」という言葉には、当然備わっていなければいけない、無ければ社会人失格、といったニュアンスが含まれているような気がします。現に「社会人基礎力とは、生きる力そのもの」と書いているサイトもあり、あたかも「無いヤツは死ね」と言っているようです(曲解しすぎでしょうか?)。

 果たして社会人基礎力は本当に必要な能力なのでしょうか? そして私のような社会人基礎力のない人は生きる価値がないのでしょうか? 考えたいと思います。

自分らしい働き方って、何だろう

社会人基礎力がない! 私は社会の落伍者だわ

 そのような思いを抱いている方に読んでいたければと思います。

結論

 社会人基礎力に対する私の考えは以下の通りです。

①有るに越したことはないが、絶対的なものではない

②なくても生きていくことはでき、社会人失格とはならない

社会人基礎力を構成する12の要素

 まず、社会人基礎力について簡単に説明したいと思います。

 経済産業省によると、社会人基礎力とは「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の三つの能力と、具体的な12個の能力要素で構成されています。

 公共心や倫理観、基礎的なマナーを前提とし、読み・書き・算数・ITなどの基礎学力、仕事に必要な専門知識に加え、この社会人基礎力を有機的にリンクさせていくことで、仕事をバリバリ行うことができる、としています。

 詳しくは経済産業省のサイトをご参照ください。

社会人基礎力が絶対的でない理由

 上記を踏まえて、社会人基礎力が絶対的でない理由として、いくつか問題点を挙げてみたいと思います。社会人基礎力のない人間のやっかみも多分に含まれていますので、そのあたりはご承知置きください。

古い

 冒頭にも触れましたが、社会人基礎力が提唱された2006年。この稿を書いている17年も前にさかのぼります。2017年に一度見直されてはいるようですが、陳腐化は否めません。

 中でも、近年めまぐるしく進みつつある労働形態の多様性が反映されていない点は、致命的な欠陥だと言わざるを得ません。フリーランスの台頭、兼業・副業の増加など、提唱当時は考えられなかった要素が加味されておらず「社会人=企業で働くもの」という価値観で固められた概念だと言えます。

個人を企業の歯車としか考えていない

 社会人基礎力は、経済産業省が提唱している点からも、産業界からの要請に応えてつくられている面が多分にあります。“雇う側”の価値観に立脚していることから、個人の成長やよりよい人生を送るといった要素が欠落しています。誤解を恐れず言えば、個人を企業の歯車としか考えていないのです。

 社会や経済を担う専門人材として成長するために、社会人基礎力がどのような役割を果たすのか、といった部分に対する言及がなされていません。

社会的に不利な立場の人への配慮がない

 生まれながらの特性や障害などにより、社会的基礎力を構成する12の要素をどうしても鍛えることが難しい人がいます。また家庭環境や経済的事情により、幼少期に十分な教育を受けることができない子どもがいるのが社会の現実です。

 社会の多様性に対する要請が年々強くなっている中、社会的に不利な立場の人への配慮がなく、社会人としての基礎力と言い切ってしまう傲慢さには、疑問を抱かざるを得ません。

 余談ですが、この社会人基礎力という言葉、ネーミングセンスがゼロと思うのは私だけでしょうか。いまの社会に沿った、もう少しソフトでなじみのあるフレーズに変えたりする必要があると思います。

なくても生きていける

 以上のような理由から、社会人基礎力は絶対的なものではありません。有るに越したことはないですが、なくても社会で生きていくことができ、社会人失格とはなりません。

 例えば主体性や創造力がなくても、決められたことを手順通りきっちりこなす仕事ならその人の特性が生きる可能性が高まります。計画力はあるけど働きかけ力や傾聴力、状況把握力のない人は、組織に属さずフリーランスとして働くことが選択肢に入るでしょう。

まとめ

 今回は社会人基礎力について、やっかみ半分で考察しました。

社会人基礎力に対する私の考え
①有るに越したことはないが、絶対的なものではない
②なくても生きていくことはでき、社会人失格とはならない

問題点
①労働形態の多様性が反映されておらず、古い
②経済界の価値観で作られており、個人を企業の歯車としか考えていない
③社会的に不利な立場の人への配慮がない
④(おまけ)名前がダサい

 私自身、フリーランスとして働くより、企業に所属する方が望ましいと考えています。企業活動が日本経済の礎であることに疑いの余地はなく、レバレッジで多くの富を生んでいるのは事実だからです。

 しかし、組織の中で働いたり、チームでプロジェクトを進めたりすることを苦手としている人も多くいます。そんな人はフリーランスとして一匹狼で仕事をするのも手です。苦労やリスクは多いですが、有力な選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。

働き方

Posted by かく企画