統一地方選挙について分かりやすく解説! 家庭内別居の話も

2023年3月30日

統一地方選挙って何?

私には関係ないよね

今回も棄権、棄権っと

やや、棄権とは何事だ! いいかい。統一地方選は、身近な生活に直結する選挙なんだよ

 今回は、ニュースや新聞でしばしば見聞きする「統一地方選挙」について説明します。分かっているようで分からない人にも、さっぱりちんぷんかんぷんの人にも、分かりやすく解説できればと思います。

 こんにちは、社長の藤田です。現在、フリーランスのライターとして活動していますが、2002年から14年間、とある地方新聞社の記者として仕事をしていました。

 2013年は4年に一度の統一地方選挙の年です。政治家や報道関係者にとっては大きなイベントなのですが、世間の関心は低いようです。

 この文章では、統一地方選挙の仕組みのほか、統一とは名ばかりになっている現状を解説。さらにどうでもよい、私の記者時代の家庭内別居の話もしたいと思います。

統一地方選挙とは

 統一地方選挙とは、日本国内にある都道府県と市区町村で、知事や市町村長(まとめて首長<くびちょう>と言います)、都道府県議会議員、市区町村議会議員の選挙を全国同時に行うイベントを指します。

 ニュースや新聞では「統一地方選」と略して呼ぶことが多いです。略すと言っても、たった1文字なんですがね…。 

統一地方選挙を行う理由

 なぜ、わざわざ選挙の日程を統一するのか。主な狙いは以下の2点です。

・有権者の選挙への意識を高める
 全国一斉に行うことで、日本全体が選挙モードになります。そのため、国民の選挙に対する関心が高まり、投票率アップにつながることを狙っています。

・選挙の費用の削減
 選挙を行うにも、投票所を借りたり、開票作業をする人に手当を出したりでお金がかかります。その費用は、私たちが納める税金から捻出されます。

 選挙を同時に行い、投票や開票をいっぺんに済ませることで、費用を削減する狙いがあります。

統一地方選挙はいつ行うの

 首長、議員とも任期は4年なので、統一地方選挙は4年に1回です。4の倍数年の1年前に行われます。干支で言うと、卯年、未年、亥年が該当します。

 余談ですが、参議院議員選挙は3年に1回、寅年、巳年、申年、亥年に実施します。亥年は、統一地方選挙と参議院議員選挙を同時に行うため、政治家にとっては選挙に忙殺されることとなります。このことを、政治家やマスコミでは「亥年選挙」と呼んでいます。

統一地方選挙の「前半戦」と「後半戦」

 統一地方選挙に話を戻しますが、通例4月にあり、都道府県と政令指定都市関係の選挙を行う「前半戦」、政令市以外の市区町村の選挙を行う「後半戦」の2回に分けて行います。

 今年(2023年)の具体的な日程は以下の通りです。

4月10日…前半戦(都道府県知事、都道府県議会議員、政令指定都市の市長、市議会議員)

4月24日…後半戦(市区町村長、市区町村議会議員)

 ちなみに前半戦、後半戦は正式用語でなく、マスコミが便宜上付けた呼び名です。

「いっせい地方選挙」

 統一地方選挙には、各政党が候補を立てて選挙戦を繰り広げますが、その中でも日本共産党だけは、この選挙のことを「いっせい地方選挙」と呼びます。

 私が記者をしていた頃も、共産党の関係者はかたくなに「いっせい地方選挙」と呼んでおり、なんでだろうと思っていました。

 この文章を書くに当たってネットで調べたところ、その昔、日本社会党(現在の社会民主党)と共闘し、候補者を統一して臨んだ選挙を「革新統一選挙」と呼んでおり、その選挙と区別するために、今でも「いっせい地方選挙」と呼んでいるそうです。

「統一」は名ばかりになってきている

 そんなこんなで行われている統一地方選挙ですが、ここ最近は「統一」でなくなってきているのをご存じでしょうか。

 統一地方選挙の第1回は戦後間もない1947年。このときは全都道府県、全市区町村が参加して行っていました。

 しかし、合併による新しい市町村の誕生、首長の任期途中での辞職、議会の解散などで選挙の日程がずれてしまい、回を重ねるごとに統一地方選挙に参加しない自治体が増えていきました。

 最近では、2011年3月11日の東日本大震災で、翌4月に選挙を予定していた東日本の自治体が軒並み選挙を延期することに。

 その結果、2023年の統一地方選挙では、全ての地方選挙の27.43%しか実施されず、「統一」は名ばかりになっています。

都知事選の例

 東京都知事選挙も、かつては統一地方選挙の枠組みで行われていました。日本の首都のトップを決める選挙だけに、毎回の統一地方選挙では最も注目される選挙でした。

 ところが、2012年に当時の石原慎太郎知事が衆議院議員選挙に出馬するために、任期途中で辞職。そこから統一地方選挙の枠組みでは行われなくなりました。

 余談ですが、その後就任した猪瀬直樹知事は医療法人のヤミ献金疑惑などにより辞職。次の舛添要一知事も公用車や海外出張旅費を公私混同したとして辞職。任期途中で放り投げる事態が続いています。

 2023年の統一地方選挙では、北海道、大阪など9道府県でしか行われません。

盛り上がりはいまいちだが、記者は忙しかった

 盛り上がりはいまいちな統一地方選挙ですが、それなりに記者は忙しいものでした。今でも忙しく取材しているようです。

 私は、2003、2007、2011、2015年の都合4回取材しました。

前半戦が終わったと思ったら、後半戦

 中でも、2015年の選挙は忙しい選挙でした。当時担当していた都市は、前半戦で県議会議員、後半戦で市議会議員と、立て続けに選挙が行われることとなっていました。

 特に県議会議員は、現職議員に有力新顔候補が立候補し、県内屈指の激戦区。選挙戦の前から、毎日のように情勢取材などを重ねる日が続きました。

 やっとのことで終わったと思ったら、後半戦。市議会議員は人数が多いので(確か20人弱くらいだったと思います)、取材も大変です。「調査書」と呼ばれる、経歴書のようなものを各候補から集めるのですが、それだけでも一苦労でした。

遅くに帰宅、朝起きたら妻はいない

 そんなことですから、夜遅くまで働くこととなります。

 私は当時、新婚3カ月でした。会社の借り上げ社宅に住んでいたのですが、妻は遠距離通勤をしており、午前7時前には自宅を出発。私はその後に目を覚まします。机には朝食と弁当を用意してくれていました。

 仕事を済ませ、夜の10時過ぎ、遅ければ11時ごろに帰りますが、妻は翌朝早いのですでに就寝。私は夕食を食べ、日付が変わって午前1時以降に寝るというサイクルでした。

 こんな調子で、妻とほとんど顔を合わせない日が数週間続きました。新婚3カ月にして、家庭内別居の状態です。

妻を選挙事務所回りに連れ回したことも

 たまに起きているときに出くわすと、こんな感じの会話を交わしていました。

私

おお、久しぶり

妻

あれ、生きとったん?

うん…、何とか。そっちは?

まあ、ぼちぼち

 あまり大きな声では言えませんが、たまの休みにも、あちこち顔を出して選挙の取材をしていました。「ドライブ」と称して妻を助手席に載せ、選挙事務所回りをしたこともあります。事務所で取材中、妻は車の中で待っていました。

 別の原稿で書きましたが、選挙は公共性が高い一方で、人間の欲望や打算が最もドロドロと渦巻くイベントの一つ。ですので取材をして飽きることはありません。

 しかし新婚の妻には悪いことをしたかなあ、と思ったりしています。

まとめ

 今回は、統一地方選挙の話でした。まとめです。

・4年に1度、地方の選挙を同時に行うイベント
・有権者の意識を高め、選挙の費用を節約するのが狙い
・前半戦(都道府県、政令市)と後半戦(市区町村)に分けて実施
・最近は参加する選挙が少なく、「統一」は名ばかり
・取材が多忙だったため、新婚3カ月で家庭内別居

地域社会の発展や住民の生活に大きく関係する、身近な選挙

 最後に、地方選挙の意義について書きたいと思います。

 これも別の文章で書きましたが、道路や橋のメンテナンス、家庭ごみの回収、消防や警察、はては水洗トイレを流すことまで、暮らしに身近な行政サービスは、地方自治体、とりわけ市区町村があるからこそ、当たり前のように受けることができます。

 市区町村のトップが誰になるか、議員がどういう顔ぶれになるかにより、行政サービスの方針も変わる可能性があります。それだけに、地方選挙は重要なのです。

 もし、お住まいの自治体が統一地方選挙の対象であったら、今回はぜひ投票してみてはいかがでしょうか。

新聞記者

Posted by かく企画