書を捨てよ、答案練習をしよう ー簿記3級試験の直前対策①ー

2023年6月4日

 2月26日に日商簿記検定試験が全国一斉に行われます。今回は、私なりの直前対策について書きたいと思います。

 こんにちは、「かく企画」社長の藤田です。以前このブログで、日商簿記3級、2級にチャレンジした体験記を執筆。使った教材や、学習のスケジュールについて紹介しました。

 このブログを読んでくださる方の中には、日商簿記についてインターネットで検索し、その結果たどり着いたというケースが多くあります。日商簿記の試験日が迫っていることもあり、今回は簿記の直前対策をテーマにしたいと思います。

直前はひたすら模擬試験と答案練習に打ち込もう

 タイトルにも書いてありますが、私の直前対策を一言で言うと、以下の通りです。

 書を捨てよ、答案練習をしよう

 ここで言う「書」とは、教科書、ならびに問題集のこと。簿記3級を目指してきた多くの方は、教科書や参考書を読み、問題集を解く学習を続けてきたかと思います。

 しかし、試験の2週間前、あるいは1週間前を迎えた時期には、模擬試験や答案練習を中心とした学習にシフトするべきと考えます。知識を定着させる学習から、出題形式に慣れるトレーニングに重きを置くということです。

 日商簿記は、以下のように大きく3つの問いで構成されます。

第1問 仕訳問題

第2問 商品有高帳などの補助簿、伝票問題、固定資産、収益・費用の見越・繰延、穴埋め問題、その他いろいろ

第3問 財務諸表(B/S、P/L、後T/B、精算表)の作成、精算表の穴埋め(いわゆる「推定問題」)

 大問1は仕訳問題なので問題集の繰り返しで何とかなりますが、第2問、第3問は実務でまず見ることのない、クセのある問題が出てくることもあり、出題形式に慣れておく必要もあります。

 しかも、試験時間は60分。解いてみれば分かりますが、時間が足りません。限られた時間の中、できるだけ多くの問題を正確に解いていく訓練が必要になってきます。

教科書や問題集を捨てる理由

 すこし横道にそれますが、教科書や問題集を捨てる理由についても触れておきます。

問題が易しすぎる

 教科書や問題集に収録されてある問題は、知識の習得を助けるため、自然と正解に導くように設計されています。難易度自体も低いです。

 模擬試験や答案練習に初めて取り組んだとき、難易度の高さに驚く人も多いと思います。私も初めて実践形式の問題を解いたとき、全く歯が立たず「自分はこんなにできないんだ」とショックを受けました。

 教科書や問題集は基礎力を付けるのに欠かせません。しかし基礎的な問題を続けているだけでは、合格はおぼつかないと思います。

正解を察することができる

 教科書や問題集は「現金・預金」「貸倒引当金」「固定資産」などのように、論点ごとに問題が並んでいることがほとんどです。なので、仕訳問題の場合、どの勘定科目を使うべきか、なんとなく察しが付いてしまいます。これでは本当の力は付きません。

 本試験の場合、問題はランダムに出題されます。序盤で勉強する「現金・預金」の仕訳が最後の方に出ることもあれば、中終盤に学習する「仮払消費税」「未払法人税」の仕訳がいきなり1問目に出題される場合もあります。問題文を読んで、適切な勘定科目を選ばなくてはいけません。



模擬試験と答案練習の効果的な学習法

 模擬試験、答案練習に取り組むにあたって心掛けることは、以下の2点です。

時間を意識する

 前述の通り、日商簿記3級はとにかく時間がありません。そのため、本番と同じ60分の試験時間で解いていくことが重要です。

 できれば受験票に書かれてある実際の試験時間と全く同じ時刻で解くのがベスト。午前の試験で10時スタートなら10時から、午後1時スタートなら午後1時から始める、といった具合です。

 都合が付かない場合、午後1時半スタートなら○○時30分から始めるなど、「分」だけでも当日と同じ時刻に合わせてはいかがでしょうか。

 ただし、受験票に「午後1時半」と書いていても、この時間ちょうどに回答が始まるとは限りませんので、注意してください。午後1時半から試験上の注意などが10分ほどあり、その後「回答始め」の合図が出ます。

 当日の試験環境と極力同じにすることで、本番も平常心で取り組むことができます。

 まだ基礎力が付いていない、全ての論点を学習し終わっていないなどの理由で、どうしても60分以内に解けない場合でも、ひととおり解けるまでにかかった時間を計ってみてはいかがでしょうか。答案練習を繰り返し、まずは60分以内にひととおり解けるようになるよう頑張ってみましょう。

間違ったところを教科書で確認

 問題を解いた後はほったらかしにせず、採点をして間違ったところを教科書で確認するようにしましょう。この時だけは、「書」を手にすることになります。

 何回も答案練習を繰り返していると、間違いの傾向が見えてくると思います。簿記3級だと、貸倒引当金(貸倒損失、債権償却取立益も含む)、固定資産の減価償却、収益・費用の見越・繰延(未払金、未収金、前払金、前受金)がつまずきやすい論点です。

 私自身は、減価償却と法人税・消費税でよくミスをしており、その都度教科書を見返していました。

まとめ

 今回は、簿記3級の直前対策として、模擬試験や答案練習を繰り返すことを提案しました。

 試験全般に共通することかもしれませんが、簿記試験に合格するために必要な力とは、簿記の力ではなく、試験で点数を取る力です。

 問題形式に慣れることで、できるだけ多く得点し、合格を勝ち取っていただければ幸いです。

資格取得

Posted by かく企画