簿記3級で犯したケアレスミスと注意点21選 ー簿記3級試験の直前対策②ー
2月26日に日商簿記検定試験が全国一斉に行われます。今回も、私なりの直前対策について書きたいと思います。
こんにちは、社長の藤田です。以前このブログで、日商簿記3級、2級にチャレンジした体験記を執筆。使った教材や、学習のスケジュールについて紹介しました。
さらに、直前対策として、残り2週間を切った時期から答案練習に重点を置き、出題形式に慣れることを提言しました。
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今回は、私が簿記3級で犯してしまったケアレスミスと、注意するべき点を挙げたいと思います。
私は簿記3級の勉強の際、模擬試験や答案練習でつまらない間違いをするたびに、メモに残して戒めとしていました。しかし何を隠そう、私はかなりの慌て者。メモから主なものをピックアップしただけで21個もありました。試験直前の総復習に役立つことがあれば幸いです。
問題文の読解について
記号で答えるのに言葉で答えていないか
第2問で空欄補充問題が出た際に、やらかしました。簿記3級は基本数字と記号で答える問題が多いです。
しかし、第3問の財務諸表の作成問題や、第2問の補助簿(特に商品有高帳)の作成問題などではことばで解答しなければならないことがあります。
桁を間違っていないか
10,000と100,000、100,000と1,000,000を読み違えるミスです。
私は、繰越利益剰余金を取り崩して利益準備金を積み立てるときに間違っていました。
年月日を間違っていないか
特に年利や減価償却の計算など、時間の経過が伴う問題で混乱してしまいます。
対策方法はただ一つ。落ち着くのみです。
勘定科目のミス
とにかく時間がない簿記3級の試験。問題文を急いで読んでいると、勘定科目を取り違えるケースがよくあります。私が間違った勘定科目を一気に挙げます。
貸付金と借入金
貸付金…他人に貸したお金
借入金…他人や銀行などから借りたお金
借入金と手形借入金
借入金…現金で借りた
手形借入金…相手に約束手形を振り出してお金を借りた。
支払手形と受取手形
支払手形…約束手形を振り出したとき(負債)
受取手形…約束手形を受け取ったとき(資産)
支払手数料と受取手数料
支払手数料…費用
受取手数料…収益
手形の仕訳
小切手を受け取った場合…現金が借方(増える)→小切手は通貨代用証券
小切手を振り出したとき…当座預金が貸方(減る)→現金は減らない
仕訳で注意するべき点
簿記3級は仕訳のウエートが非常に大きいのが特徴です。
理解しているつもりでも、つまらぬミスをしてしまい、点数を落とすことがよくあります。
貸借逆にしていないか
貸倒引当金の繰入や戻入などでよくやりました。貸倒引当金は負債ではなく、資産の評価勘定という点も混乱に拍車をかけます。
貸借平均か
仕訳は、必ず貸方と借方の金額が一致します。記入漏れや桁の間違い、計算ミスなどにより、貸借合計が一致しないまま答案を提出したことがよくありました。
できれば試験終了までに、第1問の仕訳問題をいまいちど見直したいところです。
購入にかかる付随費用を「仕入」に含めているか
仕入の際の商品発送料などの経費は、商品の取得原価に含め、仕入勘定に含めて処理します。「発送費」などの勘定科目は立てません。
(例)商品10,000を仕入れ、代金は掛けとした。その際、輸送賃1,000を現金で支払った。
仕入11,000/買掛金10,000
現金 1,000
※仕入10,000
発送費1,000 とはしない
現金過不足、小口現金
ここからは論点別の注意ポイントです。
現金過不足や小口現金の問題では、貸方、借方が混乱しがち。今でも分からなくなることがよくあります。
現金過不足
実際の現金が帳簿より少ない→借方に「現金過不足」、貸方に「現金」(現金を実際の額に減らす)→最終的に「雑損」になる。
実際の現金が帳簿より多い→借方に「現金」(現金を実際の額に増やす)、貸方に「現金過不足」→最終的に雑益になる。
小口現金
インプレストシステムで当日補給する場合、借方に「小口現金」、貸方に「現金」「当座預金」。子どもに小遣いをやり、親の財布からお金が少なくなるイメージです。
貸倒引当金
貸倒引当金は、実際にお金が増減する訳ではないので、とてもイメージがしにくい概念です。
しかも、債権の発生時期、回収時期により処理が異なるので、間違いやすい論点です。
前期以前に発生した債権(売掛金や受取手形など)が貸し倒れた場合
貸倒引当金を設定している→「貸倒引当金」(資産のマイナス勘定)を充当
貸倒引当金を設定していない→「貸倒損失」(費用勘定)で処理
当期に発生した債権が貸し倒れた場合
全て「貸倒損失」で処理
貸し倒れたはずの債権が回収できた場合
当期に貸倒処理した債権→「貸倒処理」の取り消す処理
前期以前に貸倒処理した債権→「償却債権取立益」(収益勘定)で処理
有形固定資産の売却
苦手な人が多い固定資産です。
当期首から売却時までの減価償却
有形固定資産の売却仕訳をする際、当期首から売却時までの減価償却を忘れがちです。私はしょっちゅう忘れていました。
例えばX2年10月に固定資産を売却する際、当期首(X2年4月)から売却時(X2年10月)までの7カ月分の減価償却を行うのを忘れずに。
財務諸表~貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、試算表(T/B)
残高試算表か合計試算表か
試算表には、残高試算表と合計試算表、合計残高試算表の3種類があります。合計残高試算表は形が違うので間違うケースは少ないですが、合計試算表と残高試算表は形が一緒です。
後T/Bを作成する問題の場合、残高試算表なのか合計試算表なのかよく問題文を読みましょう。私は答案練習で残高試算表を作成するべきところを合計試算表を作成してしまい、0点だったことがあります。
メモをきれいに書く
財務諸表の作成問題では、修正仕訳、現金過不足の処理、減価償却など膨大な量の決算整理をしなくてはなりません。この際、メモ用紙に仕訳を書いたり、問題で提示された前T/Bなどに金額の増減をメモで書いたりします。
このメモの字が汚かったり、他の欄にはみ出たりした場合、解答欄に転記する際にミスを引き起こす原因となります。私はメモが読めず、同じ決算整理を2度も行ったことがありました。
限られた時間で急いでしまいますが、メモは極力きれいに書きましょう。
貸倒引当金の設定
決算整理の貸倒引当金の設定の際、「売上債権の○%」を設定するよう求められることが多いです。その際、問題文にある金額だけでなく、修正仕訳などで増減した分を反映させるようにしましょう。急いでいると、これを忘れがちです。
年払い費用の繰延
決算処理で、保険料や家賃などの年払い費用を繰り延べる際、決算整理前残高は「期首再振替分+向こう1年分」となります。
例えば、次のようなケースで決算整理をする場合です。
家賃は毎年8月1日に向こう1年分を前払いしている。支払家賃の決算整理前残高は960,000円である。
決算整理前残高の960,000円には、8月に支払った向こう1年(12カ月)分の家賃だけでなく、前期の決算整理で繰り延べて当期首に再振替した4~7月の4カ月分が含まれていることに留意するべきです。
よって、960,000円÷(4カ月+12カ月)=60,000円(1カ月の家賃)
60,000×4カ月(次期分の家賃)=240,000を「前払家賃」(資産勘定)に振り替える必要があります。
期首再振替分の存在を忘れがちで、960,000を単純に12カ月で割って1カ月80,000円の家賃にし、80,000×4カ月=320,000円を前払家賃に振り替えてしまうことがありますので、注意ポイントです。
まとめ
今回は、簿記3級で私が犯したケアレスミスを列挙しました。ひととおり簿記3級を学習した人向けですので、詳しい説明を省き概要だけを書いています。
どんな試験でも、ないようであるのがケアレスミス。私の膨大な事例を他山の石とすることで、ミスが少なくなればうれしいです。
ディスカッション
コメント一覧
商業高校に所属しています者です。
支払手数料と受取手数料のところで、「支払手数料…資産」,「受取手数料…負債」とありますが、支払手数料は費用で、受取手数料は収益です。早急の訂正を強くお願い申し上げます。
安部様
はじめまして。記事を執筆いたしました藤田と申します。
このたびはブログをお読みいただき、また誤りをご指摘いただき、誠にありがとうございます。
併せて安部様をはじめ読者の皆さまに間違った情報を発信していた点、大変申し訳ございませんでした。
ケアレスミスをなくそうと呼び掛けているブログにおいて、筆者自らがケアレスミスをしてしまい、汗顔の至りです。
当該箇所は訂正させていただきました。今後とも貴重なご意見を頂戴できれば幸いです。
これからも何卒よろしくお願いいたします。