ラスボス財務諸表の登場 ー簿記3級試験の直前対策③ー

2023年4月2日

 2月26日に日商簿記検定試験が全国一斉に行われます。今回は、3級の「ラスボス」である、第3問の財務諸表の作成問題について、私なりの直前対策について書きたいと思います。

 こんにちは、「かく企画」社長の藤田です。以前このブログで、日商簿記3級、2級にチャレンジした体験記を執筆。使った教材や、学習のスケジュールについて紹介しました。

 このブログを読んでくださる方の中には、日商簿記についてインターネットで検索し、その結果たどり着いたというケースが多くあります。日商簿記の試験日を間近に控え、3級に関して直前の学習法や犯しがちなケアレスミスについて書いてきました。

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 今回は、合格を左右する第3問・財務諸表の作成問題についてつづっていきたいと思います。直前対策がテーマですので、ひととおり学習が終わっている人を前提に、総まとめや小手先のテクニックを中心に触れたいと思います。



第3問の出題内容

 日商簿記検定3級は、次のような問題のうち、いずれかが出題されると考えられます。

①貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)の作成

②決算整理後試算表(後T/B)の作成

③精算表の作成

④精算表の穴あき部分を埋めていく問題

 ①②は決算整理前試算表(前T/B)を元に、問題文で指示された決算整理を行い、財務諸表を作成する問題。③は試算表欄を元に、問題文で指示された決算整理を行う問題です。つまり、①②③とも、表の形が違うだけで、やることは同じと言うことができます。

 クセがあるのは④です。「推定問題」などと言われる出題形式で、試算表欄とB/S欄、P/L欄の金額のずれや、精算表にあらかじめ記されている金額を元に、空欄部分の穴埋めをしていきます。

 いずれにしても、簿記一巡の手続きや決算の流れを頭に入れることが、正答への必須条件となります。

決算手続きを一覧表にした

 私は、決算の手続きを以下のように自分なりにまとめ、すきま時間などに眺めることで覚えるようにしていました。

 ※(資)(負)(純)(収)(費)はそれぞれ資産、負債、純資産、収益、費用の略

決算整理(簿記3級)
  • 前T/B
  • 0
    修正仕訳

    未処理事項、修正事項の処理

  • 1
    現金過不足の処理

    「現金過不足」を「雑損」(費)または「雑益」(収)に

  • 2
    当座借越の振替

    「当座預金」(資)が貸方残の場合、「当座借越」(負)に

  • 3
    貯蔵品の振替

    切手「通信費」(費)や印紙「租税公課」(費)を「貯蔵品」(資)に

  • 4
    未収、前受、未払、前払

    収益の見越…当期収益を計上し未収勘定(資)に
    収益の繰延…翌期収益を減額し前受勘定(負)に
    費用の見越…当期費用を計上し未払勘定(負)に
    費用の繰延…翌期費用を減額し前払勘定(資)に 

  • 5
    固定資産の減価償却

    借方「減価償却費」(費)、貸方「××減価償却累計額」(資)

  • 6
    貸倒引当金の設定

    借方「貸倒引当金繰入」(費)、貸方「貸倒引当金」(資)
    借方「貸倒引当金」(資)、貸方「貸倒引当金戻入」(収)

  • 7
    売上原価の計算

    しーくり…前期繰越の「繰越商品」(資)を「仕入」(費)に
    くりしー…売れ残りの「仕入」(費)を「繰越商品」(資)に

  • 8
    法人税等の処理

    「法人税等」(費)計上、「仮払法人税等」(資)、「未払法人税等」(負)

  • 9
    消費税の処理

     「借受消費税」(負)―「仮払消費税」(資)=納税額「未払消費税」(負)

  • 後T/B

決算振替など
  • 後T/B
  • 1
    損益振替

    (収)(費)科目の貸借差額を計算し、「損益」と書いて締める
    「損益」の元帳に転記。貸借差額が当期純利益or損失→<P/Lに>

  • 2
    資本振替

    「損益」の貸借差額を計算し、「繰越利益剰余金」(純)と書いて締める
    「繰越利益剰余金」(純)の元帳に転記

  • 帳簿の締切
  • 次期繰越記入

    (資)(負)(純)科目の貸借差額を計算し、次期繰越と書いて締める

  • 繰越T/B→<B/Sに>

 (資)(負)(純)(収)(費)はそれぞれ資産、負債、純資産、収益、費用の略。実際はA4横の紙1枚にまとめて一覧性を出すことで、全体のイメージがつかめるようにしました。

 期首再振替は3級の範囲ではありませんが、フリーランスとして帳簿を付けるのに必要であったことから、自主的に学習しました。これが結果的に2級の理解を助けることになりました。

貸借が一致しない場合どうする

 第3問を解いていてよくあるのが、B/S、P/L、T/Bの借方、貸方が一致しないことです。一生懸命決算整理をして、やっと終わったと思いきや、貸借が一致せず落胆、というケースは簿記3級あるあるだと思います。

 結論から言えば、貸借が一致しなくてもそれほど気にする必要はないと思います。第3問は最後の損益や繰越利益剰余金の額が間違っていても、途中が合っていればある程度点数をくれます。貸借一致に固執していたずらに時間を消費するより、第1問の仕訳の見直しなどに充てたほうが良いと思います。

 ちなみに私は、貸借が一致しないことの方が多かったです。

 とはいえ、貸借不一致は決して気持ちのよいものではありません。そこで、不一致の原因を見つける「法則のようなもの」をご紹介したいと思います。

①不一致金額と同じ額の勘定科目がある場合
 その勘定科目の金額記入を単純に忘れている可能性があります 

②不一致金額が2で割り切れる場合
 借方、貸方を反対に集計した可能性があります 

③不一致金額が9で割り切れる場合
 桁を一つ間違えた可能性があります

 ただし、不一致の原因が複数ある場合、上記法則は当てはまりません。

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まとめ

 他の記事でも書きましたが、簿記試験に合格するためは、簿記の力だけではなく、試験で点数を取る力が必要になります。

 第3問についても、試験日が近づくにつれ、実践的な問題を多く解き、出題形式に慣れるのがよいと思います。第2問と比べ、出題パターンは限られていますので、試験直前まで諦めず頑張りましょう。


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Posted by かく企画