フリーランスが仕事用とプライベート用で銀行口座を分けた方がよい理由5選

フリーランスで働くのに、銀行口座は仕事用とプライベート用で分けた方がいいかなあ

通帳が増えて管理が面倒になりそう

必ずしも分ける必要はありませんが、資金状況を把握するために分けることをおすすめします

 こんにちは、「かく企画」社長の藤田です。2021年に地方新聞社を退職し、現在はフリーランスのライターとして活動しています。

 早速結論になりますが、個人事業主やフリーランスは仕事用とプライベート用で銀行口座を分けた方が良いと思います。もちろん、仕事用の口座がなくても業務はできますが、仕事とプライベートのお金を分けるのが経営者として健全な姿です。

 仕事用の口座があることで、自分の成果を見える化でき、資金状況の把握が容易になります。また屋号を持っている方は、通帳名義に屋号を付けることで得意先から信頼されやすくなるのもメリットです。

 今回は、個人事業主やフリーランスが仕事用通帳を持つメリットについて説明します。さらに2023年度現在のトレンドとして、中小企業庁が仕事とプライベートのお金を分けるよう指導を強化していることについても触れます。

(註)金融機関の口座は銀行以外にも郵便局、農協、漁協、信用金庫、信用組合、労働金庫、商工組合中央金庫がありますが、本文では便宜上「銀行口座」と表記します。

仕事用の銀行口座をつくるメリット5選

 仕事用の銀行口座をつくるメリットはたくさんありますが、今回はこの5点に絞って取り上げます。

①成果(売上)を見える化する

②資金状況を把握できる

③会計ソフトと連携しやすい

④通帳に屋号を付けると信用が上がる

⑤リスク分散できる

成果(売上)を見える化する

 私はフリーランスの仕事を始めて以降、通帳に記帳された原稿料の入金履歴を見ることを何よりの楽しみとしています。毎月下旬に入金が集中しているので、毎月末日に銀行に行って記帳し、通帳を見てにんまりとしています。

 通帳が一つでもにんまりとはできますが、プライベートと仕事のお金の出入りを分けていたほうが、仕事の成果(=売上)をより実感することができます。仕事のモチベーションを保つためにも、成果を見える化することは大切です。

資金状況を把握できる

 通帳を別にしていたほうが資金状況の管理がよりしやすくなります。

 通帳を一つにしていると、どれがプライベートのお金の出入りで、どれが仕事での出入りなのかが分かりにくくなります。残高が減っているときでも、仕事の経費がかかりすぎなのか、プライベートで浪費しているのか把握がしづらく、資金管理の上では不利です。

会計ソフトと連携しやすい

 「freee」などのクラウド型会計サービスでは、銀行口座やクレジットカードの口座と連携ができ、入金、出金などお金の動きを自動的にソフトに取り込んで取引を登録してくれます。

 仕事用の口座と連携しておけば、プライベートの支出を登録するといったミスを防ぐことができます。



通帳に屋号を付けると信用が上がる

 個人事業主やフリーランスが仕事用の口座を開設する場合、屋号付きの口座を選べる場合があります。屋号とは店舗名や事務所名など商業上の名前のことで、「かく企画」も屋号に当たります。

 ただしネット銀行など、一部対応していない金融機関もあるので注意が必要です。

リスク分散

 日本の銀行は安全とされていますが、破綻する可能性もゼロとは言えません。複数の銀行口座を持つことで、リスクを軽減させることができます。

複数の銀行口座を持つデメリット

 複数の銀行口座を持つデメリットは、新規開設が煩わしいのと、開設後の記帳が手間になるくらいです。ネット銀行や既存銀行のインターネットバンキングを利用すれば記帳する手間が省けます。

中小企業庁の「ガバナンス体制整備支援」

 近年、国は企業に対して仕事とプライベートのお金を分けるよう指導を強化しています。

 中小企業庁が全国47都道府県に設置している企業支援組織「中小企業活性化協議会」では、本年度から企業経営の透明性を確保する「ガバナンス体制整備支援」の強化に乗り出しています。

 詳細は省きますが、支援項目の一つに「法人個人の分離」があり、法人・個人の資産やお金のやり取りを明確に分けるよう指導しています。

税務調査にも影響?

 上記を踏まえ、ここからは私の完全な私見です。

 国の指導はあくまで中小企業が対象ですが、当然個人事業主やフリーランスに対しても求められます。

 国が「仕事とプライベートのお金を分けよう」という呼びかけをしているのですから、例えば税務調査において、プライベートの支出を意味する「事業主貸」や、使途不明なお金を意味する「仮払金」が多い人が調査対象として狙われやすくなる、ということもあり得るのではないでしょうか?

 あくまで私の邪推ですが、いずれにしても、仕事用とプライベート用で銀行口座を分ける意義は高まっていると思います。

まとめ

 今回は「銀行口座は仕事用とプライベート用で分けた方がいい」についてでした。

銀行口座は仕事用とプライベート用で分けた方がいい

分けるメリット
①成果(売上)を見える化する
②資金状況を把握できる
③会計ソフトと連携しやすい
④通帳に屋号を付けると信用が上がる
⑤リスク分散できる

 私が営業職をしていた頃、顧客から売上金を現金で回収するやいなや、そのお金を持ったままパチンコ店に直行する経営者がいました。また、会社の資金を仮払金や立替金で処理し、そのお金で愛人に高級バッグを買うといった話も聞いたことがあります。

 当時は「そりゃひどいなー」と他人事のように笑っていましたが、経営する立場となった今はとても笑えません。

 お金の公私の区別を付け、持続可能なフリーランス生活を送りたいと思います。