学歴も会社も頼れない時代にどうやって生き延びるか
このブログを始めるにあたって
私たちは新聞記者をドロップ・アウトした二人組です。
私たちが新聞社に入社した約20年前から斜陽産業と言われていましたが、それでも給料は他の業界よりは比較的高く、楽しそうに仕事をしている人たちが多くいました。
もちろん、高い給料を貰う代わりに労働時間は異常に長く、仕事とプライベートのオン・オフがない業界です。時給換算すると情けなく思うことがありました。でも、スクープを書いた時や取材した人に喜んでもらえた時に感じる充実感がなんとも言えませんでした。
ところが、この5年くらいでしょうか。一気に新聞業界は厳しくなってきたように感じます。私たち二人は、それぞれが勤める新聞社(会社は別々です)で記者職を追われ、一人は退職しました。その経緯については、このブログの中で時々お話するかもしれません。
いずれにしても、私たちは長年続けてきた、記事を書いたり、写真を撮ったりするという「生活」がある日突然終わりました。
「生活」というと大げさに思うかもしれませんが、新聞記者という仕事は生活そのものでした。深夜に寝ていても事件が起きると電話で叩き起こされ、現場に駆けつける。デスクからの電話にすぐに出ないと、休みなのにいきなりどやしつけられました。旅行をしている時は、数時間おきに担当分野で大きなことが起こっていないかを自主的にテレビかラジオで確認しました。東北地方で大震災が発生した時には、私たち2人のうち1人は大阪で勤務していましたが、休日でも会社に走りました。宿直勤務はまさに会社での生活です。
人員削減が続く中、自分が思うような取材はどんどん出来なくなってきました。40歳前後になると宿直は体力的にきつく、しかも人が少なくなっているので当番回数は増えていく一方でした。
加齢とともに体力的にきつかったことは事実です。だから、強制的に終わってしまった生活でしたが、それはそれで良かったのかもしれません。
私たち二人は、20年ほど前に同じ地域で、別々の新聞社の記者同士という間柄でした。異動で同じ赴任地ではなくなっても、時々連絡を取り合っていました。丸1年連絡がないという年もありました。何の偶然か、二人ともほぼ同じ頃に新聞記者ではなくなり、40代で別の道を歩まなくてはいけなくなりました。
私たち2人は、たいして有名とは言えませんが、それぞれの地域で少しは認知度がある大学や大学院を卒業しました。でも、40代になると大学の名前なんか役に立ちません。ちょっと考えてみたらわかるのですが、日本経済がシュリンクしていく中で、「良い大学」という基準はとっくに崩壊しています。
私たちが20代の頃(1990年代)は、マスコミの会社に就職するのは、今よりは難しかったように思います。上向いていく産業がある中で、下降線をたどる業界があるのは、今に始まったことではありません。私たちは、学歴も会社も頼れない海原に立っていることに気が付かざるを得ませんでした。
新聞記者をドロップ・アウトして、まず思ったのは「どうやって稼ぐか」です。
2人とも、新聞社の編集局(報道に携わる部署)から追い出されました。給料はもらえますが、ガクンと年収が下がりました。仕事は経験したことがない分野です。私たち2人のうち1人は退職しました。そのことについては、次回以降にお話しします。
定年退職する時まで、会社自体が存在しているとは到底思えませんでした。会社が存続しても、強制的に退職を迫られるの日はすぐにやってくるだろうと考えました。
その時に感じたのは、書くということ以外に、自分に社会的有用性がないのではないかという不安。そして、書くという仕事は、新聞社以外ではたいした収入がないのではないかという恐れを覚えました。
1人が退職をしたことを機に、2人で会社を作りました。会社と言ってもそれは想像上の会社です。2人は同じ会社の人間だと心のなかで決めました。そして、週に1回会議をして、それぞれの仕事の進捗を報告し合いました。今月の目標を作るようになり、中長期的な事業構想を考えるようにもなりました。
「会社設立」から1年が過ぎ、2人で振り返ってみました。少しずつではありますが、やりたいと思った仕事が走り始めました。そして、新聞記者を辞める直前より楽しい毎日を送っていることに気が付きました。
私たちの場合は、「書く」ということが、新しい仕事でも役に立っています。なんでも書いて記録し、振り返り、その振り返りも書いていく。週一回の会議(「週次会議」と二人は呼んでいます)のおかげで、2人はこれからも新しいことに挑戦できると感じるようになりました。そこでブログを開設しました。
「学歴も会社も頼れない時代にどうやって生き延びるか」というテーマで、書くことで人生を良くしていく方法を紹介していこうと思います。週次会議についても、みなさんにお話しようと思います。学歴も会社も頼れないことに気がついた方たちにお役に立てればこれ以上うれしいことはありません。どうか、よろしくお願いいたします。
「かく企画」
社長 藤田勝久
社員 仮面ライター 2023年1月
ディスカッション
コメント一覧
藤田さん、仮面ライターさん、はじめまして。
記事をとても興味深く拝見しました。
学歴や今までの働きかたができなくなった現代で、書くことでどうやって身をたてていけるのか。これからのご活躍がとても気になります。
わたしも今年はブログを始めようと思っていますので、勉強させてください。
応援しています。
きょん様
はじめまして。ブログをお読みいただいてありがとうございます。
「書く仕事」で食べていくことはもちろん、
少しでも社会の役に立つことができればと考えています。
きょん様もブログ始めましたら、ぜひ教えてください。
これからもよろしくお願いいたします。