
結末から書く ――新聞記者の読まれる「逆三角形」の文章――
こんにちは、仮面ライターです。前回は「文章は削るほど伝わる」という引き算の技術をお話しました。
引き算のコツを掴んだところで、次にぶつかるのが「そもそもどういう順番で書けばいいのか?」という文章の組み立て方(構成)の問題です。よく言われるのが、起承転結ですが、新聞記事はそのような構成になっていません。
そこには新聞独特の理由があるのですが、企画書などにも応用できると思い、紹介したいと思います。今回は、新聞記者が新人の頃に徹底的に仕込まれる、最もシンプルで最強の文章構成法「逆三角形」についてお話しします。
起承転結は捨てる
学校の国語の授業で習う文章構成といえば「起承転結」です。 ストーリーを組み立てる小説やエッセイならそれも素晴らしいのですが、Webのブログ記事やビジネスの現場において、起承転結は必ずしも良法とは限りません。
なぜか。現代の読者は、とにかく「いらだち」を感じやすいからです。
起承転結で書かれた文章は、「起」で背景が語られ、「承」で展開し、「転」で一波乱あり、最後の「結」でようやく結論にたどり着きます。 しかし、忙しい現代人が企画書やネットの文章を読むとき、「結論はどこ?」「この記事は自分に関係あるの?」と常にスクロールの手を早めています。「結」にたどり着く前に、9割の読者は離脱してしまうのです。
もちろん、それをわかっていて起承転結を意識して書くというのも一つの方法です。私も、このブログではそのような書き方をした記事が多くあります。
新聞記事の「逆三角形」
「逆三角形」とは、文字通り「最も価値のある情報(結論)を一番上に置き、下に行くほど補足情報や詳細を書いていく」構成のことです。
新聞の1面を思い出してください。 「昨日、〇〇の交差点で事故がありました。現場は〜」などと順を追って書く記者はいません。 「〇〇市でトラック事故、2人ケガ」という結論(見出しとリード文)が最初に来ます。その後に、発生時刻、現場の状況、目撃者の証言……と、重要度の低い順に並べられていきます。
この構成には、大きなメリットが2つあります。
- 読者が一瞬で「自分に必要な記事か」を判断できる
- スペースや時間の都合で後ろをカットしても、主旨が絶対に伝わる
新聞を作る場合、一つの紙面上で記事行数があふれると、整理部員が削りをします。そのためにも、逆三角形の構造が求められます。
Webブログや仕事の報告書でもまったく同じだと私は考えます。 最初に「この文章で伝えたい答え」を提示。読者は安心して「なるほど、詳しく知りたいな」と読み進めてくれるのです。
「逆三角形」で書くための3ステップ
では、日常の文章で「逆三角形」を実践するにはどうすればいいのか。具体的な手順は以下の3つです。
ステップ1:書き出す前に「言いたいこと(結論)」を1文にする
キーボードを叩き始める前に、紙でも頭の中でもいいので、「結局、この記事で何が言いたいのか?」を1つの文に要約してください。 これが決まっていないまま書き始めると、間違いなく脱線して「迷子」になります。
ステップ2:結論+理由を最初に持ってくる
文章の冒頭(導入)で、その結論と、なぜそう言えるのかという理由を提示します。
- 例:「ブログの閲覧数を伸ばしたいなら、まずはタイトルを一番最後に決めるべきです(結論)。なぜなら、本文を書くうちに主張が変わることが多く、初期のタイトルとズレが生じるからです(理由)。」
これだけで、読者は「なぜ?」という好奇心を刺激され、先を読みたくなります。
ステップ3:具体例やエピソードで「裏付け」をする
結論を述べた後に初めて、あなたの体験談、実験データ、具体的なノウハウなどの「詳細」を配置します。ピラミッドの底辺を支える土台の部分です。ここがしっかりしていると、結論の説得力が何倍にも跳ね上がります。
結末を知っていても映画はおもしろい
「最初に結論を書いてしまったら、ネタバレになって最後まで読んでもらえないのでは?」と懸念される方がいます。ウェブライター方に、「新聞記者の記事の書き方はウェブでは読まれない」と言われたことがあります。ウェブ特有のPVを上げる書き方はあります。助言くださった方の考えを否定するつもりはありません。
ただ、読み始めてから長々と書いていて、大した内容でもない結論を最後の最後に持ってこられると、時間を損したと思います。そのような経験が重なると、数行読んで「これはダメな記事だな。おそらく大したオチもないだろう」となります。私の場合、数行で読むのをやめます。
結末を最初に書いたらネタバレになるという懸念ですが、本当にそうでしょうか? 映画「タイタニック」は、船が沈没することがわかっていてもおもしろいストーリーです。結論を知っていても、その過程がおもしろい。逆に結論を知らないと、ハラハラドキドキ感は生まれません。
まとめ:親切な文章は「逆さま」から生まれる
文章を書く側の気持ちとしては、「苦労して調べた背景」や「思いついた順序」通りに書きたくなるのが人情です。 しかし、そこを一歩踏みとどまり、「読者が一番知りたいことから書く」。
この意識を持つと、あなたの文章は驚くほどロジカルで、スピード感のある「伝わる文章」に変わります。
もし、日頃の文章で「最後まで読んでもらえない」「何を言いたいのか分からないと言われる」とお悩みなら、ぜひ明日の記事から「結論から書く」逆三角形を試してみてください。
ちなみに、私もこの記事の結論を冒頭に持ってきましたが、ここまで読んでくださったということは、「逆三角形」の仕掛けにハマってくださったということだと思っています。ありがとうございます。







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