売り物になる○×クイズの作り方 ―注意点5選―

 こんにちは、社長の藤田です。19年勤めた会社を退職し、現在はフリーライターをしております。

 機関誌の記事執筆、ニュースサイトへの投稿、新聞やインターネットの記事広告の作成など、文章を作ることが多いライターの仕事ですが、年に何度か「クイズを作ってほしい」といった依頼が舞い込んできます。

 この前も、子ども向けの食育に関するクイズを作成しました。大型連休のイベントで使うとのことで、難易度の設定や使う言葉の選択に注意しながら作っていきました。

 どちらかといえば文章の書き方について触れることの多い当ブログ。今回は「売り物になる○×クイズの作り方」と題して、注意すべき5点について紹介したいと思います。

 イベントでクイズを作らなければいけない人、そしてあまりいないとは思いますがクイズ作家として食べていきたい人の参考になればうれしいです。

○と×の比率は 5:5に

 まず、○と×の比率は5:5にすることをお勧めします。

 余興やクイズ大会などで自分が出題する場合、ギャグの一環として答えを全部○にしたり、逆に×にしたりすることはあってもよいと思います。

 しかし、「商品としてのクイズ」を作り、クライアントに納入する場合は奇をてらわず、○と×の比率をほぼ同じするほうが無難でしょう。

 ○×クイズを何十問も作っていると、いつの間にか×が答えの問題ばかりを作っていたり、終わってみれば8割くらいが○だったりすることは、結構あります。たくさんの問題を作成する際は、常に○と×の比率に気をつけるようにしましょう。

裏取りはしっかりと

 ○×問題にかかわらず、クイズを作る際には問題の真偽を確認する「裏取り」が重要です。問題自体が正しくない「ウソ問」だったとなれば、出題者の面目は丸つぶれですし、作成者の信頼も落ちてしまうことになります。

 本当に正しいかどうか不安を感じる問題であれば、思い切ってボツにすることも必要です。

 私自身、冒頭に紹介した子ども向けの食育クイズで「ナスはヘタを上に向け、縦に置くと長持ちする」という問題(答えは一応○)を作成しました。生活に結び付いた良問ができたと自画自賛したのですが、長持ちする根拠まで見つけることができず、泣く泣くボツ問にしました。

 もし理由をご存じの方がいれば、教えてください。

「悪魔の証明」に気をつけよう

 「悪魔の証明」という言葉をご存じでしょうか? 中世ヨーロッパのローマ法学者に由来する言葉で、証明することが非常に難しいという例えです。

 ○×クイズでは、解くために悪魔の証明を伴うような問題だと、答えが簡単に推定されてしまいます。

 例えば「日本で初めてミニスカートをはいたのは、加賀まりこである、○か×か」という問題。知的好奇心をくすぐる良問のように見えますが、実は×であることが簡単に推測できます。

 そもそも、日本で初めてミニスカートをはいた人物が誰かというのを証明するのは、至難の業です。

 通説では1959年に英国のデザイナーのマリー・クワントが売り出し、1967年に女優の野際陽子さんが初めて着用したと言われています。しかし、野際さんが履くまでの8年間に、日本人が誰一人としてミニスカートを履かなかったと証明できる人はいるでしょうか。

 クイズである以上、知識以外の要素で答えが推定できる問題は、極力排除したいものです。

「ひょっとしたら…」と思わせるのがいい問題

 問題作成の基本について書いてきましたが、ワンランク上の良問を作るコツについても触れたいと思います。

 ○×クイズは、言うまでもなく2者択一問題です。どんなに知識がなくても、50%の確率で正解します。それだけに、解答者を迷わせる問題こそが良問だと言えます。

 「普通に考えれば○だけれど、ひょっとして×かも」。このように思わせれば、こちらのものです。

 ここでも一例を挙げたいと思います。

ミミズもバックする。○か×か?

今世紀最後!史上最大!アメリカ横断ウルトラクイズ 第1次国内予選7問目

 これは実際にテレビ番組の「アメリカ横断ウルトラクイズ」で出題された問題です。ミミズがバックしているのは見たことがない、でもひょっとすると、人知れずバックしているのかも、と思ってしまいます。

 正解は×。ミミズは全身に短い毛が生えており、この毛が滑り止めの役割を果たすことで後ろに進むのができないとのことでした。この問題を聞いたとき、そのクオリティーの高さに思わずうなってしまいました。

予備問題を作っておこう

 クイズの問題は、思わぬトラブルで出題当日にボツになったり、問題を差し替えなければならなくなったりします。

 予期せぬ事態に備え、注文を受けた本数に何本かプラスして納入すれば、依頼主も喜んでくれるはずです。

まとめ

 今回は○×クイズの作りかたについてでした。最後に、注意するべき5点をおさらいしておきます。

①○と×の比率は5:5で
②裏取りはしっかりと
③「悪魔の証明」に気をつけよう
④「ひょっとしたら…」と思わせるのがいい問題
⑤予備問題を作っておこう

 余興やお遊びなら自由に作ればいいのですが、お金をいただく以上、精選された問題を提供したいですね。

 一口にクイズと言っても、○×問題、3択・4択問題、早押し問題、山手線ゲームのように答えがいくつもある多答問題など、さまざまな種類があります。

 ○×以外のクイズの作りかたについても、機会があれば紹介したいと思います。

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Posted by かく企画