会社を辞め すぐに始めた「ピロリ菌退治」の体験談

 皆さん、体にいいことしていますか?

 のっけから健康食品のCMか、と言いたくなるような書き出しですが、人間、40歳も過ぎると体にガタがきます。私自身も体力の低下を自覚し、痛風、首の痛みなど、さまざまな症状で病院通いをしています。

 こんにちは、社長の藤田です。2021年の6月に19年3カ月勤めた新聞社を退職。現在はフリーライターとして活動しています。

 会社を退職した際、最初に取り組んだのが胃の中に巣くっていたピロリ菌の退治でした。会社を辞め、転職か独立かという岐路を迎え、可能な限りリスクファクターを減らしておこうと考え、時間と心の余裕もできたことから治療することにしました。

 今回は、そのときの体験談を紹介することで、人生の転機に体のメンテナンスをすることをお勧めしたいと思います。

 中年の階段を上りつつある30歳代後半くらいの方はもちろん、若い方にも参考にしてもらえればうれしいです。

不衛生な幼少期

 ピロリ菌は胃の中に住み続けている細菌で、胃がんや胃潰瘍を引き起こすと言われています。感染経路は不明な点が多いのですが、幼少期に不衛生な水を飲んでいると感染すると言われています。

 私の実家はかなりの田舎で、25年くらい前まで水道が敷かれていませんでした。配水池より標高が高く、水道を引くのに多額の費用がかかるためだと聞いたことがあります。そんなわけで、長く井戸水を飲んでいました。

 さらに、別の文章でも書きましたが、退職前は仕事のストレスで、毎朝食べた朝食を吐いていました。胃痛に悩まされることもしばしばで、会社のデスクにも胃薬を常備していました。

 ピロリ菌がいない方が不思議という、そんな荒れた胃でした。

退職前に温情で受けた健康診断

 ピロリ菌が胃の中にいるかどうかを調べる方法はいろいろあるようですが、私は会社の健康診断の内視鏡検査で見てもらいました。

 健康診断は、私が会社を辞める数週間前に行われる予定でした。フリーランスの場合は全て自己負担ですが、会社の診断費用は全て会社が持ってくれます。勤めているときは特に意識することはありませんでしたが、今考えると本当にありがたい福利厚生でした。

 私は、もう辞める人間が会社の金を使って健康診断を受けるのは虫が良すぎるとおもい、受診を辞退すると上司に告げました。しかし上司は「受けたらいいよ。気にするな」と言ってくれました。これも今思うとありがたい言葉でした。

「藤田さん、ピロリ菌追加!」

 そして健康診断。

医師
医師

藤田さん、ピロリ菌の検査をしますか

 内視鏡検査の前、医師が突然提案をしてきました。

 不衛生な幼少期、朝食のリバース、さらに胃痛を抱えていた私は、その提案を受け入れることにしました。

 私の返答を聞くやいなや、医師はそばにあった受話器を取り、どこかへ内線電話をかけ始めました。

医師
医師

はーい、藤田さん!ピロリ菌追加ね!

 おいおい、ラーメン屋で替え玉注文するんじゃないんだから…。医師の軽いノリに対し、そう思った記憶があります。

 ちなみに、この時の内視鏡検査は、私にとって人生初の胃カメラでした。

 検査中、えずいたり苦しんだりする人がいるようですが、幸い私は何ともありませんでした。ただ、検査後の胃の違和感のほうがつらかったと記憶しています。

 最終出勤日の数日前、健康診断の結果が送られてきました。予想通り、ピロリ菌がいるとのことでした。

いよいよ服薬1週間 酒はOK

 退職して間もない7月13日、私は県内有数の大きな病院に行きました。いよいよピロリ菌の治療です。

 担当は若くて明るい男性医師でした。表情に笑みをたたえながら、除菌の手順を紹介してくれました。

 まず、1次除菌として、ピロリ菌を殺す薬などを1週間飲み続けます。そして2カ月後に再度病院に訪れ、ピロリ菌が死んでいるかどうかを確認。根絶されていなければ、2次除菌として、異なる薬を1週間服用します。

 薬は1日でも欠かすとアウト。気になるアルコールについては、1次除菌はOKだが2次除菌では完全断酒とのことでした。

 薬をもらいに院内の薬局に向かったところ、待合室のテレビの前に人だかりができていました。

 この日は大リーグのオールスターゲームの日。ホームラン競争で、エンゼルスの大谷翔平選手が打席に立っていました。

 乾いた打音とともに、大谷選手の打球は次々とスタンドインしていきます。会社に勤めていたら、おそらくは見ることはなかったであろう、鮮やかな白い放物線。

 「ああ、会社辞めたんだな」。そんな実感が湧いてきました。そしてピロリ菌は一発で根絶するのではないかという、根拠のない期待も膨らんできました。

1次除菌のみでピロリは死滅

 その後、1週間薬を飲み続けました。酒はOKとのことでしたが、やはり気が引けて服薬期間中は控えていました。

 そして10月5日、効果を確認するため、再度病院へ向かいました。さすがに前夜の酒は禁忌で、当日朝も絶飲食でした。

私

先生、いかがでしょうか…

医師
医師

大丈夫です。菌は死滅していますよ

 秋めいた町を足取り軽く歩き、帰路につきました。

 その後、胃はすこぶる順調。ピロリ菌がなくなったおかげでもあり、ストレスが軽減されたためでもあります。

まとめ ―人生の転機に体のメンテナンスを―

 今回は、退職後まもなく行ったピロリ菌退治の体験談でした。

 米国の社会学者リチャード・フロリダ氏は、世界がより良くなるよう、経済や社会の仕組みを一度見直し刷新する「グレートリセット」という概念を提唱しました。人間にとって、退職、転職、独立は「グレートリセット」の一つと言うことができるでしょう。

 ただ、働き方やライフスタイルを見直すだけでなく、富を生み出す源である自分の体もいまいちど見直してみてはいかがでしょうか。

 人生の転機に、体をメンテナンスすることをおすすめいたします。

自己管理

Posted by かく企画