本音を引き出すインタビュー術②

新聞記者

 こんにちは仮面ライターです。前回に続いてインタビューの方法についてお話します。私自身、取材はとても苦労しました。

実践編1:沈黙を恐れない。相手が思考を深める「3つの間(ま)」

 インタビュー中、最もライターを不安にさせるのが「沈黙」です。質問の後に相手が黙り込んでしまうと、焦って「あ、例えば〇〇ということですか?」と、こちらから先回りして答えを誘導してしまいがちです。私もよくやってしまいました。

 しかし、インタビューにおける沈黙は、拒絶ではなく「相手が自分の内側を探り、言葉を選んでいる時間」であることがほとんどです。この沈黙を以下の「3つの間」として捉え、意図的に使い分けます。

  • 【思考の間】(3〜5秒): 質問の直後、相手が目線を斜め上に向けたり、腕を組んだりしたときの沈黙。記憶や感情を整理しているサインです。絶対に口を挟まず、静かに待ちます。
  • 【余韻の間】(2〜3秒): 相手が一通り話し終えた直後の沈黙。すぐに次の質問に移るのではなく、あえて少し間を置くことで、「……あ、そういえば思い出したんですけど」と、本当に伝えたかったエピソードがポロリとこぼれ落ちることがあります。
  • 【整理の間】(うなずき+1秒): 相手の話を深く聞き入っている姿勢を示す間。大げさに何度も相槌を打つのではなく、相手の言葉のトーンに合わせてゆっくりと深く1回うなずき、余白を作ります。

 沈黙を恐れず、相手の思考のペースについていくこと。その時間が、きれいに整えられた回答ではない、生々しい本音を引き出します。

実践編2:すらすら答える人への取材

  沈黙の反対に、立て板に水で話す人もいます。こういう人への取材は、書く段階になると、意外と苦戦します。

 それは、取材が完成せずに帰ってきてしまったからです。すらすら話す人は、取材慣れしていたり、記者の質問の意図を読んで上手に答えてしまったり、ということがあります。

 「Aという行為の裏に、Bという思いがあった」。確かに、本人はそう語っているのですが、書いてみるとしっくりしないことが多々あります。もしくは、デスクに執拗に突っ込まれます。

 これを聞けば大丈夫という秘策はありません。強いて言えば、相手にしつこく聞き続けるしかありません。話を聞いている時、すらすらしすぎたら、こちらから間を作って、会話のペースを変えることや、(取材後にうまくいっていなかったと気がついた場合)追加取材をお願いするというのも手です。

 ただし、著名人の場合は、なかなか追加取材は受け付けてもらえません。だけど、私は「どうしても読者に大事なことを伝えたいから時間を作っていただけませんか」と、お願いはしていました。

 応じてもらえても、メールでということが多く、さらにきれいな回答が送られてきてしまい……。かといって、さらに追加質問も出来ずに、泥沼にハマることばかりでした。

 読者が「えっ」と反応するような話の裏にこめられた思いは、きれいな話であればあるほど、書き手は疑ってみるべきだと思います。相手がちょっと不快になるかもしれないような意地悪な質問をあえてしてみる。そういう勇気がなかった私にとって、すらすら話す人への取材は苦手でした。

 逆に、ピンチから一発逆転をした取材が数は少ないですがあります。今のところ自分の素性をあかせない「仮面ライター」ですが、披露できる日が来るのやら。

新聞記者

Posted by kamenw