
削ることで文章は上達する ーー新聞記者の文書術ーー
こんにちは。夏の暑さ、円安、原油高にたじろいでいる仮面ライターです。今回は少し真面目に文章術の話をしてみようと思います。
文章を書く仕事をしていると、「どうすればもっと説得力のある、読み応えのある文章が書けますか」と聞かれます。何度も原稿を見直して、追加に追加を重ねているのに、文章が良くならない。実は、説得力に欠ける文章は「足りない」のではなく、「多すぎる」ことが原因ということがあります。
あと10行削る
文章が上達したと私自身が実感したのは、社外筆者の監修担当と整理部での体験です。どちらの仕事でも、記事を削ることがあります。それはとても難しい仕事です。
社外筆者の原稿は行数が決まっています。しかし、規定の行数をほとんど守ってきません。やたらと長く、そもそもスペースに入り切らない。その上、最悪なのは、何を言ってるのかわからない冗長な部分もあります。
整理部の仕事は時間との勝負。しかも複数の出稿部デスクを通過している完成された文章です。隣の記事が増えてきて、こちらの記事を削らざる得ない。締め切り時間はあと30秒。整理部員がすごいのは、10秒でもさっと削ってしまいます。残りの20秒で点検。そして、降版(※輪転機に印刷板が届くこと。つまり最終締め切り)します。
文章が削れるようになると、筆力が上がります。完成された記事ですら、まだ余分があるのです。
なぜ削るとよくなるのか?
私たちが文章を書く時、無意識のうちに「読者に親切でありたい」「誤解を避けたい」「取材したことを少しでも多く出したい」という気持ちが出ます。その結果、文章は肥大化していきます。
しかし、読者の脳のメモリには限りがあります。 情報量が多すぎる文章は、読者にとって「ノイズの多いラジオ」を聴かされているようなものです。ザーザーという雑音(余計な修飾語や重複)の中に、本当に伝えたい主旋律(本質)が埋もれてしまうのです。
文章を削るということは、ノイズをカットして、主旋律のボリュームを最大にすることに他なりません。
今日からできる「3つの作業」
では、具体的にどこを削ればいいのか。今日からすぐに使える3つのチェックポイントをご紹介します。
1. 「〜することができる」を捨てる
ブログやビジネス文書で最もよく見かける、無駄に長い表現の代表格です。「〜することができる」は、たいてい「〜できる」「〜する」に置き換えられます。これだけで文章が引き締まり、スピード感が生まれます。
2. 接続詞を半分にする
「だから」「しかし」「また」「ところで」……。 もちろん必要な接続詞もありますが、実は、前後の文章が論理的につながっていれば、接続詞がなくても読者は自然に理解できます。
一度、自分が書いた文章から接続詞をすべて消してみてください。その上で、「どうしてもここにはないと意味が通じない」というものだけを復活させるのです。これだけで、ダラダラとした印象が一気に消え去ります。
3. 「一文」には「一役」だけを与える
一つの文章の中に、あれもこれもと情報を詰め込まないことです。一文が3行、4行と長くなってきたら、句点を打って2つに分けましょう。
- 長い一文: 「昨日は天気が良く、絶好の行楽日和となったため、多くの家族連れが公園に足を運び、芝生の上でお弁当を広げて楽しそうに過ごしていた。」
- 分けた一文: 「昨日は絶好の行楽日和だった。公園には多くの家族連れが訪れ、芝生の上でお弁当を広げて楽しんだ。」
削ることは、読者への優しさ
文章を削る作業は、せっかく書いた文字を捨てる行為ですから、少し身を切られるような痛みを伴います。しかし、その作業が改善につながります。
「これ以上、削る場所がない」。 そう思えるまで削ぎ落とした文章は、シャープになり、説得力を持ちます。私の場合、整理部で体験した仕事が究極のトレーニングでした。
ご自身のブログや仕事のメールが「なんだか締まりがないな」と感じたら、ぜひ一度、書いた後に「2割削る」という作業に挑戦してみてください。ゲームくらいの感覚で。伝わる文章に生まれ変わるはずです。
……と、偉そうに文章術を語ってしまいましたが、私のこの原稿も社長に「長すぎるから半分に削れ」と言われないか、今から戦々恐々としています。






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