40代のおっさんフリーライター 運だけで「簿記2級」に合格した体験記

資格取得

 今回は、簿記2級の学習についての体験談をお話ししたいと思います。

 こんにちは、社長の藤田です。フリーランスで働くにあたり確定申告で必要になったことと、万一再就職する際に何か資格を持っていたほうがよいと考えたことから、簿記の勉強を開始。2021年12月に日商簿記3級の資格を取得しました。

 その後、簿記の考え方は自分に合っていると思い、2級の勉強を開始。仕事ですぐに必要となしないので「趣味の一環として勉強する」と思っていましたが、そんな生半可な気持ちでは到底太刀打ちできない試験でした。

 しかし、直前の答案練習と似た問題が出題されるという幸運に恵まれ、何とか合格。中でも工業簿記の分野では、なんと満点を取ることができました。

 簿記3級の体験談では学習のポイントをご紹介しましたが、2級では学習の反省点を挙げることで当時の様子を振り返りたいと思います。

日商簿記2級の出題範囲

 日商簿記の公式サイトによると、簿記2級は以下のような資格試験です。

経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。

高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。

(出典:商工会議所の検定試験)

 簿記3級が中小企業の経理を想定しているのに対し、2級は子会社を持つ上場企業を想定しています。そのため、外貨建取引や本支店会計、連結会計が出題範囲となっています。

 また、新たな科目として工業簿記が登場します。材料費や人件費などを把握し、製品を製造するのにいくらかかったかを計算する方法(原価計算)などを学びます。

 簿記3級の知識や考え方が基礎になる上、簿記3級で習った量の倍以上のことを新たに習得しなければなりません。

日商簿記2級の試験とは

 試験は商業簿記3問、工業簿記2問の計五つの大問で構成。配点は商業簿記60点、工業簿記40点です。工業簿記はクセがあってとっつきにくいものの、出題範囲やパターンが限られているので、満点が狙いやすいと言われています。

 合格ラインは3級と同じく70%以上の正解率。合格率は20%前後で、多いときは半数が合格する3級と比べて狭き門となっています。

 試験は3級と同じく、全国各地の試験会場で2月、6月、11月の年3回実施。指定の会場へ出向いてオンラインで試験を受ける「ネット試験」が通年で行われている点も、3級と同じです。

簿記2級の学習で使った教材

 3級に引き続き、通信講座「クレアール 」を使いました。商業簿記61単元、工業簿記52単元の計113単元で、計60時間の講義動画を聴講。教科書、レジュメ、問題集に加え、答案練習・模試を計4回受けることができます。価格は36,920円で3級のおよそ3倍。割引キャンペーンなどの有無で多少増減するようです。

 動画で丁寧に教えてくれ、分かりやすいですが、さすがに2級は難しいので市販のテキストや問題集を併用する人もいるようです。私は、TAC出版の直前予想模試「あてる」(定価1,500円)を購入し、試験本番を想定した実践練習を行いました。



学習のスケジュール

 学習スケジュールは、次の通りです。

タイムラインのタイトル
  • 12/1
    講義動画の視聴開始

    1日当たり1~3単元講義を視聴

  • 4/19
    講義動画の視聴ほぼ終了

    分からずギブアップした動画もあった

  • 4月下旬
    仕事が忙しくなり始める

    仕事で新案件が立て続けにスタート

  • 5/7
    答案練習、苦手分野の問題演習

    実践形式に慣れる。知識のアウトプット

  • 5/22
    予定が破綻し、やる気の糸が切れる

  • 6/12
    試験当日
  • 6/27
    合格発表

 試験勉強は12月にスタート。2月にも試験がありましたが、時間が足りないので6月の試験に照準を合わせました。

 学習時間は3級と同様、1日平均30分~1時間のペースで、講義動画の視聴が中心。問題集も並行して解いていきました。

 講義動画の視聴は4月中旬に終えましたが、十分理解できない論点が多数ありました。ちょうどこの時期、新案件の仕事が立て続けにスタートし、学習時間の確保がだんだん難しくなっていきました。

 連休明けの5月より、実践形式の答案練習と苦手分野の問題演習をスタート。答案練習はこの時点で50点取れるのがやっとで、合格にはほど遠い状態でした。

 5月に入って県外での取材などがあり、計画は遅れ気味になりました。5月22日、この日は商業簿記の決算処理、工業簿記の個別原価計算と総合原価計算など、ヘビーな論点を複数こなすという計画でしたが、当然こなすことはできず、この日を機にやる気の糸が切れたのを記憶しています。

 敗色濃厚で迎えた試験1週間前。どうやっても挽回することはできないので、難しい論点はあきらめてできる問題を確実に取ろうと、レジュメと教科書を見返して復習しました。

 また、答案練習をできるだけ行い、問題形式に慣れることに努めました。この悪あがきが、試験の結果を左右することになるとは思いませんでした。

学習の反省点

 私は試験前に合格をあきらめ、何が悪かったのかを総括することにしました(そんな暇があったら勉強しろ、という声が聞こえてきそうですが)

 そこで上がった反省点は次の三つです。

①学習時間の不足

 主な予備校の情報をまとめると、簿記2級の合格には概ね200~250時間は必要なようです。ところが私の学習時間は150時間弱。全然足りません。講義で理屈は理解していても、問題になると解けない論点が多くあり、実践が足りていないと感じました。

②追い込みが不発

 前に書いたとおり、4月下旬以降仕事が立て込み、5月中旬に入ると完全に学習が滞りました。私の自己管理が甘かったこともあり、最も重要な時期に学習時間を確保することができませんでした。

③苦手分野の克服に時間がかかった

 最大の理由はこれだと思います。

 商業簿記でつまずいたのは、①有価証券の処理・期末評価②株式会社の純資産全般③税効果会計④連結会計。①②は何とか時間をかけて理解しましたが、③は何度やっても分からず、④は時間切れで分からないまま試験に突入しました。

 工業簿記は、労務費の処理や製造間接費全般がなかなか理解できませんでした。二つとも、工業簿記の基本事項なので、後の原価計算の学習が大きく遅れる原因となりました。

若者に混じっての試験 そして合格発表

 試験について、棄権しようと思いましたが、「まあ行ってみたら」と妻に言われ、受験することとしました。

 3級の試験会場にはさまざまな人がいましたが、2級の受験者はほとんどが大学生ふう、または若手会社員ふうの20歳代前半とおぼしき人々でした。試験会場を見渡す限り、私より少し年上の”お姉さん”が1人いただけでした。

 大問1~3は商業簿記からの出題。1は仕訳問題ですが、ほとんど分かりませんでした。2は苦手分野でパスしようと思いましたが、解ける部分がいくつかあったので解答しました。3は商業簿記分野で唯一解けそうだったので、時間をかけました。

 大問4、5は工業簿記。4は基礎的な問題で、確信はありませんでしたが全て解きました。驚いたのは5の問題を見たときです。2日前の答案練習とそっくりの問題が出題されていました。

 答案練習では全然時間が足りてなかったのですが、この日は数分余ってしまいました。それでも合格は難しいかなという感触でした。

 結果は72点。1~2問でも落としていたらアウトという、まさに薄氷の合格です。

 問1、問2はボロボロでしたが、唯一解けそうだった問3で確実に点が取れたこと、運だけで工業簿記で満点が取れたことが功を奏しました。

まとめ

 数学アレルギー、ガチガチの文系、40歳代の私ですが、何とか合格することができました。何をやるにしても、得意・不得意や年齢などは関係ないとつくづく感じました。

 今後、簿記の資格を取り続けるかは分かりません。それでも、フリーランスで働いている限りは使うスキルなので、今後も勉強を続けたいと思います。

資格取得

Posted by かく企画