フリーライターの報酬 こうして決まってます ー前編ー

2023年6月28日

 今回は、フリーライターの報酬の決まり方について、実体験を交えて書いていきたいと思います。フリーライターの仕事について、漠然と興味を持っている人たちの参考になれば幸いです。

 こんにちは、社長の藤田です。2021年に19年3カ月勤めた会社を退職。現在はフリーランスのライターとして活動しています。

 学歴も会社も頼れない時代、フリーランスという働き方について、漠然と憧れや魅力を抱いている人はいると思います。一方で、収入面で不安を抱いている人も多いのではないでしょうか。

 今回から2回にわたり、フリーライター3年目を迎える私の体験談を織り交ぜながら、フリーライターの報酬についてスポットを当てます。前編では、報酬額の基準や決め方、サラリーマンにとっては不慣れな見積もりについて解説いたします。

フリーライターの報酬の基準とは

基本「単価×仕事量」で決まる

 フリーライターの報酬額の基準ついて、基本は「単価×仕事量」です。実際には次のような具合です。

「1文字当たりの価格×書いた文字数」

「記事・原稿1本当たりの価格×出した本数」

 例えば、1文字1円の案件で4000文字書くと、1円×4000文字=4000円。1本当たり2万5000円の原稿を4本書くと、2万5千円×4本=10万円となります。

 文字単価は、ランサーズやクラウドワークスといったクラウドソーシングサービスでの募集案件で多く採用されており、比較的安価な仕事でよくみられる傾向にあります。インタビュー記事や、ネット、新聞の広告記事の場合は、1本当たりいくらと定められていることがほとんどです。

本の執筆は固定報酬、印税の両パターンあり

 また、本など、ある程度まとまった文章を執筆、出版する場合は、1冊あたり50万というように報酬額が固定されているケースと、いわゆる「印税」として販売実績などに応じて変動する場合とがあります。

 交通費、取材費などの経費は、報酬の中に入っていたり、別途支給だったりとさまざま。私自身、近距離取材の場合は交通費込みの報酬で、新幹線や高速道路を利用する場合は報酬に加えて別途いただくよう交渉しています(もっとも、交渉する前にクライアントから「新幹線代は別途出しますので」と言ってくださる場合がほとんどです)。

 また、写真撮影が伴ったり、画像処理、加工が伴う場合は、別途手間賃をもらったり、単価に上乗せされたりします。

金額は誰が決めるのか

 金額は、クライアントが決める場合と、ライター側が見積もりを出す場合とがあります。

クライアントが決める場合

 クライアントが行う場合は、ランサーズやクラウドワークスであらかじめ金額が提示されていたり、仕事をいただく際に「1本○○円でどうでしょう?」と打診されたりします。

 価格に同意すれば仕事を引き受け、不同意の場合は価格交渉をして、折り合いがつかなければ契約不成立となります。

 クライアントの提示価格について、仕事に見合うか、市場価格と比べて著しく低くないかを見極めることが重要。ランサーズやクラウドワークスには「1文字0.1円」という、違う意味で破格の案件が多数転がっています。最初のうちは習作としてチャレンジするのも悪くはありませんが、そのうち見切りをつけ、労働力を安く買いたたかれないようにしましょう。

ライターが見積もりを出す場合

 ライターが見積もりを出し、クライアントに報酬額を打診する場合もあります。腰だめの数字を出すのではなく、仕事の内容、単価、仕事量を明示して、ある程度根拠を持たせるほうがクライアントには響くと思います。

 メールや口頭で見積額を打診しても良いですが、私はクラウド会計システム「freee」で見積書を作成。それをメール送信、郵送しています。

 見積もりはいわば、自分の仕事に対し、自分で価値を付ける作業であり、基本的に他社から評価されることが多いサラリーマンにとっては不慣れなもの。私自身もとまどいましたし、今も得意ではありません。

 しかし、自分の労働力を安く買いたたかれないために、軽視することはできません。この見積もりについては、別に機会があればエピソードを紹介したいと思います。



まとめ ー見積もりを出すことに慣れようー

 ここまで、フリーライターの報酬の基準や決定プロセスについて見てきました。金額について、クライアントが決める場合と、ライター側か見積もりを出す場合とがあると説明しました。

 見積もりを出すほうがライター側に主導権がありそうで有利と感じるかもしれませんが、私自身、クライアントに金額を打診してもらうほうが圧倒的に楽です。まだ自分の商品価値に自信が無く、しっかりと自己評価ができていないからです。

 適正な見積もりを出すためには、相場を把握し、仕事の工数を把握し、自分の価値を把握することが重要ですが、一方で慣れも必要です。私自身、これからも見積書をたくさん出し、仕事を軌道に乗せていきたいと思います。

 後半へ続く。