会社の仕事はベーシック・インカム
みなさん、こんにちは。「かく企画」社員の仮面ライターです。
今回は読者の方からいただいたお話にお答えする「相談コーナー」です。
では、さっそく相談から紹介いたします。
会社で低評価をつけられ 気持ちも収入もダウン
寄せられた相談
私はサラリーマンをしているのですが、人事評価で低評価を付けられました。昨年の1年間はかなり一生懸命働いた年でした。
人員削減で3人分の仕事をしました。削減で去った人の仕事の引き継ぎはなく、自分の本来の仕事にくわえて単純な作業ですが雑用がたくさん増えました。その上、年度の途中で課がなくなってしまいました。
毎年、個人の年度目標を作らされているのですが、年度当初の目標は変わってしまいました。でも、あきらめずに頑張りました。なぜなら業績がボーナスに直結するという制度変更があったからです。あれだけやったのに低評価となり自尊心が正直傷つきました。それは割り切るにしても収入が減るのは本当につらいです。
このブログでは、会社の仕事はアルバイトと割り切るようにと言っていたけれど、実際には簡単ではないです。副業をしようとしたけど、自分が出来るものはなく、焦っています。ここでは書けないけれど、密かに準備している自分の仕事があるのですが芽が出ていません。正直、無理なのかとも思っています。
やり場のない気持ちをどこに持っていったらよいのかわかりません。愚痴を言ってばかりもいられないのはわかっていますが先が暗いです。とりとめのない話ですみません。
(40代、埼玉県、匿名希望の男)
仮面ライターも追い込まれました
相談の話に出てくるブログ記事はおそらく、「仮面ライターの告白 ―追い込まれた日々―」ではないかとおもいます。
私が記者時代に徹底して否定され、自信を失った話です。その後もトラウマに悩み、自分を肯定的に捉えられない人間になってしまったことを書きました。
そんな「底」にいた状況から自分なりにやってきたことを書いた記事です。でも、現在とても厳しい思いをしている人からすると、困難を乗り越えてきた人間に見えたかもしれません。
そんなことはありません。
「ばいと」先では一定周期で低評価をつけられ、時には悪い評価が続きます。数年前から人事評価の点数を強制的に見せられるようになったので、見たくなくても見せられてうんざりします。20代の時よりは回復が早くなったのは事実ですが、早く退職したいと思っています。
会社員が置かれがちな状況
今回の相談を受けて、人事・管理部門を経験した人の話を思い出しました。
その一つは、「上司は、もっともらしいことを理由に評価をつけるが真に受ける必要はない」です。
株価は好況な日本経済ですが、私の知る限り、企業は給料を出し渋っています。長期不況で人件費削減はタブーではなくなってしまいました。
基本給を下げるだけではなく、残業代打ち切りや、部署替えによる給与削減、60歳定年延長による給与減。とにかく、これでもかと給料は減らされている話を知人らから聞きます。
そこで利用されているのが評価制度です。ボーナスと連動させ、「働きがいのある職場を」と聞こえの良いことを言いますが、実際は、なかなか高評価が出ない仕組みを採用する企業があるそうです。
ちなみに、企業の中には「優秀な」コンサルタントを雇い、ブラック企業かと思ってしまうような、あの手この手を採用しているとか。やれやれという思いです。
相談者の方の会社の詳細はわからないのですが、もしかしたら、上に書いたようなことはありませんか? 40代の後半ともなれば、高評価に対するボーナスの反映額が大きいので、企業は低評価をつけてもおかしくありません。
前出の人事・管理部門経験者の話では、そもそも評価は公正につけられないとのこと。相対評価を採用している企業であれば、気にしない方が良いとのことです。ただの給料削減の方便だからだそうです。
多くの人が頑張ったけれど、経営者の判断が甘くて、業績が悪い年だってあります。
人事評価は言ってみれば、小学校の成績表のようなものです。テストの点数は良かったけれど、私語をしたから、「意欲に欠ける」などと言われたことはありませんか? 当時は真に受けたでしょうが、小学校の成績を大人になって気にしても意味はありません。先生の好き嫌いだって多分に反映されます。
たぶん、相談者さんは、そんなことはわかっているのだと思います。
なぜなら、私もこんなことを書いていて、職場で低評価と聞かされたら、穏やかではないからです。まず、評価をした人の顔を思い出し、一発食らわしてやろうか、くらいの気持ちにはなります。次に、人事評価システムを知れば知るほど、「嫌なら辞めるしかない」という思いになり、落ち込みます。
ちょっと待った
「かく企画」の藤田社長のように独立した人にも悩みは尽きませんが、中年以降の会社員のやるせなさはなかなかです。
質問者さんは、何か独立のために準備をしているようです。「芽が出ない」と、諦め気分になるでしょうが、少なくとも着手しているのは大きなプラスです。というのは、諦め気分になるくらい、ずっと取り組んでいるのでしょうから、それは経験値が大きいということ。今から始めるよりは圧倒的にアドバンテージはあります。
私だって、小説を書き続けていますが、まだ書籍化はされていません。時々、自分には才能はないのではないかと思う日(もしくは週)だってあります。もしくは、もっと早くから書けばよかったとか、いくらでもマイナスな考え方は思い浮かぶものです。
明確な相談の答えを思い浮かべてお話を寄せてくださったのかわかりません。申し訳ないのですが、自分自身が迷ってもがいている状況で、立派な答えを言えるわけがないと思っています。
私も最近、かなり落ち込んでいました。信心深くもないのに神社に行きもしました。季節外れに祖父母の墓参りもしました。
今回、同じ境遇の人の話を知って、健康であることがスタートだと思い至りました。
酒を飲みすぎない、早寝早起きでしっかり寝る、運動をする。タバコを吸っている人なら減らすかやめる。
私の例であれば、小説が売れるかを悩みながらでも、毎日小説を書き、毎日小説を読む。それを少しずつでも続ける。
相談者さんの収入や財政状況がひどくないことを祈るしか出来ません。どれだけ、独立まで猶予があるかわかりませんが、悲観的になったからといって好結果が出るわけではありません。
ベーシック・インカムと明日のため
穏やかな気持でやりたい仕事に取り組み、それで十分な収入を得られたら最高です。でも、そうなっていないから、今回のような相談を送ったのだと思います。
ただ、今の仕事は、アルバイト、もしくは、ベーシック・インカム手当のようなものと考えられないでしょうか?
十分じゃないし、腹立つことや落ち込むことがあるかもしれない。
もし、会社の所得が、ベーシック・インカムの支給だと考えたらどうでしょうか?
本来のベーシック・インカムは、政府が最低限のお金を恒久的に保証する制度です。
手続きの煩雑さとか、窓口職員のわかりにくい説明や横柄な態度を1ヶ月も心に溜め込むでしょうか?
役所での手続きは一定の精神的苦痛や時間の無駄はあるでしょう。でも、儀式です。
もう一つ。「密かに準備している自分の仕事」ですが、すぐに成功したら面白くないと思います。さっさとはいかなくても、自分が思った通りにうまくいったら、おそらく周囲に妬まれます。
なかなかうまくいかないということは、それだけ創意工夫を重ねている時期をたくさん経験値として手にしているということです。
うまく行ったとしても、一度か二度は落ち込む時期があるはずです。その時に、過去の貯金が生きます。
少なくとも私はそう思いながら、小説を書いたり、「かく企画」の仕事をしたりしています。
相談者さんが思い描いている目標が達成されることを心から祈っています。また、続報をいただけるとうれしいです。
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