退職加算金にご注意 ―会社は聞こえの良い言い方をする―
今日も仮面を被りながら、会社員として一日を過ごしている「かく企画」の仮面ライターです。
ややこしいので改めて説明します。私は「かく企画」の社員です。「かく企画」は、藤田社長と2人で作った想像上の会社です。「かく企画」のために毎日、仕事に励んでいますが、世間一般の人から見れば、私の勤め先は新聞社(記者ではありません)です。
その経緯については、このブログを始める時に書いた第1回をお読み下さい。
本日は、会社をやめる時に受け取る退職金についてお話をしたいと思います。
ある年齢で増える仕組み
そもそも退職金制度がない企業もあります。そして、退職金があるとしても、企業によってその制度は様々です。今回の話は、退職金制度があり、ある年齢の時に「加算額」が変わる企業に勤めている人に向けて書きたいと思います。
一般的に、退職金は勤続年数とともに支払われる額が増えます。この退職金の額を「基礎額」と仮に呼ぶことにします。
この基礎額とは別に、ある年齢の時に退職すると、一定額の「加算金」を出す企業があります。加算金は必ずしも右肩上がりをするわけではなく、ある年齢(例えば50歳)の時に退職すると、その前後の年齢で退職するよりも多くもらえるという制度を備えている会社があります。
この種の加算金制度がある企業に勤めている人が、あと4ヶ月で50歳になるところで退職した場合、加算金で「損」をすることになります。その加算額が意外と無視できない金額という企業もあります。
早期退職の募集時にも注意
会社勤めをしているけれど、退職金制度について詳しくないという人は結構いらっしゃるのではないでしょうか。特に気をつけるべきは、早期退職を会社が募集する時です。
会社は早期退職をする人に、一定額の退職金の上乗せをする場合があります。ただ、その上乗せ額のうち、先程紹介した「加算金」が含まれているということがあります。
仕組みを知らないと、「うわぁ、今辞めるとこんなに退職金が増えるんだ」と、慌てて退職してしまうことになりかねません。
よくよく見てみたら、「基礎額」と通常の「加算」を引いて、大した上乗せがないということが起こりかねません。
こういう情報について会社側が包み隠さずに、社員の側に立って説明するという企業に勤めている人は心配ないと思います。
私の知る限りでは、往々にして会社側は都合の悪い点については、嘘は言いませんが、わかりにくい説明をします。悪質な会社になると、通常出る加算金と特別に上乗せされるお金をひとまとめにした図を社員に提示するという手を使ってきます。制度に詳しくない人は、簡単に騙されてしまいます。
退職金で「騙されない」ためには
防御策としては、労働組合に質問をしてみるという方法があります。もちろん、労働組合がない企業もありますし、組合はあるものの「御用組合」として企業経営者側に立っているのではないかと疑ってしまうような組織もあると聞きます。
ただ、組合報(※労働組合が定期的に発行する情報)では、会社と同じ様な説明を書いていても、実際に執行部組織の担当者に聞いてみると、細かく仕組みを説明してくれるのが一般的です。
もう一つは、人事部に直接退職金の仕組みを聞くという手です。
会社を辞めようとしているのではないかと思われて不安に感じるかもしれません。でも、人事部はそういう時のためにあります。しかも、早期退職を募集している場合、退職金について質問をするのは不自然なことではありません。
その際に聞いておきたいことは以下の通りです。
- 今回の早期退職で出る退職金の総額はいくらか
- もし、今回のような早期退職ではなく、通常の状態で同じ日に辞めた時に出る退職金の総額はいくらか
- もし上記の二つに差がある場合は、それぞれの内訳はどうなっているか
それ以外には以下のことにも注意しましょう。
- 今回の早期退職金の総額と、ほぼ同じ額が出る年齢はいつか
- 退職金への課税や受け取り方はどうなっているのか。特記事項はないか
なぜ、「早期退職金の総額と、ほぼ同じ額が出る年齢はいつか」を質問するかについて説明します。
もし、今回の早期退職を見送ったとして、2年後にほぼ同じ額が出るとしたらどうでしょう。退職の準備が整っていればすぐに会社を去っても良いかもしれません。でも、準備不足やこの仕事だけは経験しておきたいというような人は、退職のタイミングを考える材料になります。
そして最後のチェック項目ですが、退職金には税金がかかります。また、受け取り方は大まかに3パターンがあります。一括で受け取る、年金のようにわけて受け取る、その併用です。
まとめ ―慌てずに調べを尽くそうー
「早期退職の募集があったら辞めよう」と考えている人は、「今回は特別加算があります」などと会社に言われると、募集に飛びつきかねません。実際に、私はそういう人を知っています。
退職の仕方は人それぞれで、お金は関係なく、自分が早期退職の対象者となったことにショックを受けたり、いい機会だと思ったりして退職の道を選ぶ人もいます。
また、自分にあった再就職先が見つかり、先方が待ってくれる可能性がない場合は、そのタイミングが最良ということもあります。
ですから、今回の話はあくまで、ある年齢の時に、ポコっと増える加算金制度がある会社に勤めていて、他の要素が退職のタイミングに大きく影響しない人に向けた話です。参考になれば嬉しく思います。
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