働きすぎる記者たちの問題意識

2023年8月22日

 こんにちは。「かく企画」社員の仮面ライターです。みなさんの労働時間は長いですか? 短いですか?

 私は以前、新聞記者をしていました。新聞の記者職は、不規則で拘束時間が長い仕事の一つです。その記者たちの長時間労働是正について今回は考えたいと思います。

拘束時間が長い仕事

 記者の労働時間が長い点について、少し説明をしたいと思います。

 時間は確かに長いのですが、正確に言うと、拘束時間が長いのです。

 原稿を書いてデスクに提出する。いつデスクがチェックするかは時の運。私が若い頃は、寝ようとしたときや、信じられないくらい朝早くに電話をかけてくるデスクがいました。

 さすがに近年では、そういう絶滅危惧種のような人はほぼ消滅しました。でも、相変わらずデスクの都合やタイミングで原稿を見直すことがあり、突然仕事が発生する状況は変わりませんでした。逆にデスクの立場からしても、記者の原稿を待つ間は拘束されています。

 また、新聞社はいまだに「紙の発想」で仕事をします。輪転機が回り始める時間を軸に、それまではベストを尽くすという姿勢が、長い拘束時間を生むのです。

長時間労働是正 上司が送ってきたメール

 マスコミ関連の長時間労働は以前から問題となっていて、政府当局から指導を受ける社は少なからずありました。

 私が記者をしていた最後の方の時期に、会社側は長時間労働を是正するように動き出しました。

 ただ、その内容がひどすぎました。実質的には管理職に「働きすぎを止めるように」と口で言っただけと同じでした。

 仕事量を管理職の責任で減らし、休めていない人は、強制的に仕事につかせないという措置をとった部長級の人は、(私の知る限り)いることはいましたが、とても珍しいと言っていいほど少数でした。

 私の職場の場合は、そういう措置を取った人とは真反対。「たくさん働いて、たくさん休む人がかっこいいです」という、意味がわからないメールを部長が度々送ってきました。

責任回避型の上司のメッセージが生んだ事実とは

 度々送られてくるメールに、「あぁ、そうくるのか」と私は思いました。私は、「これまでの仕事量をこなすのであれば、労働時間は短くはなりません。具体的な指針や考えはありますか?」と、上司に質問しましたが、まともな答えはありませんでした。

 これまで求められてきた仕事量をこなせば、会社側が言っているようにはいきません。そもそも、休みが取れません。上司が責任回避をしているので、私は、セルフで仕事をリストラしました。結果は、予想通り、職場で冷遇されました。

 一方、他の同僚はどうしていたのか? 勤務表の「改ざん」です。どっかの国の政治家のことなんて言えません。上の人が言うように、事実を変えてしまいました。

「しょうがない」という記者たち

 私と同じような目にあった人は、知る限りで数人いました。

 一方の改ざんに「手を染めた」人に話を聞いてみました。結論から言うと、「しょうがないです」という答え。

 マスコミという会社である以上、特殊な事情があるのでしょう。部長のメールはいかにも日本的だと思いました。

 戦中の「転進」と同じ。言葉の言い換えです。ただ、上司の言葉のセンスが物足りなく、メッセージの空っぽさが際立っていました。

 仕事のセルフ・リストラをした私が正しいのか、間違っているのかわかりませんが、時間を巻き戻して同じ状況に置かれたら、同じことをするとは思います。

 それにしても、当時の上司があのようなメールを送ったのはどうしてか? もっと言えば、送ることが出来たのはどうしてか? 「改ざん」をする社員がいるからなのではないかと思います。

 第2次世界大戦で日本が負けた8月。日本のマスコミは、戦中から大して変わっていないのではないかと考えてしまいました。

新聞記者

Posted by かく企画