盛り上がる早押しクイズを作るコツ7選(後編)

 こんにちは、「かく企画」社長の藤田です。新聞社に19年勤務ののち、現在はフリーライターをして活動。機関誌の記事執筆、ニュースサイトへの投稿、新聞やインターネットの記事広告の作成などを主に行っています。

 前回に続き今回も、みんな大好きな早押しクイズについて、作り方のこつや注意点を説明したいと思います。

 過去にアップしたクイズの作り方は以下をご参照下さい。

前フリ部分にマニアックな情報を

 クイズの問題文作成にあたっては、マニアックな知識を前に、知られている情報を後ろに置くという原則があります。

<例題4>
 代表作に『竜馬が行く』『国盗り物語』『夏草の賦』などがある、本名を福田定一と言う小説家は誰でしょう?
(答)司馬遼太郎

 多くの解答者は問題前半部分の『竜馬が行く』『坂の上の雲』で答えが分かってしまうので、そこで一斉に早押しボタンを押してしまいます。

 コンマ数秒の差で解答権者が決まるのは早押しの醍醐味ではありますが、このような問題ばかりだと、単に反射神経を競うだけになってしまいます。

 前半部分と後半部分を入れ替え、さらに代表作もマイナーからメジャーな順に並べてみます。

<例題4・良い例>
 本名を福田定一と言う、代表作に『夏草の賦』『国盗り物語』『竜馬が行く』などがある小説家は誰でしょう?
(答)司馬遼太郎

 問題部分の前半部分にあまり知られていない情報が入っており、この知識を知っている人は他の解答者に先んじてボタンを押すことができます。

 問題文の前半部分を俗に「前フリ」と言います。この前フリ部分に思わずうなるような豆知識を入れることで問題文が締まったものになり、知識と反射神経、そして時の運をバランス良く試すことができるクイズができあがります。

確定ポイントを意識する

 確定ポイントとは、クイズの問題文が読まれる際に、解答が確定するポイントのことを指します。

<例題5>
 「日本三景」(A)と呼ばれる三つの景勝地(B)と言えば、天橋立(C)、安(D)芸の宮島とあと一つはどこでしょう?
(答)松島

 上記の例題の場合、(A)までが読まれた時点では、何を答えさせる問題か検討が付きません。(B)まで読まれた時点で始めて日本三景を問う問題だと分かりますが、それでも想定される答えが、まだ3通り考えられます。

 (C)の天橋立が読み上げられた時点で答えは安芸の宮島か松島に絞られます。そして(D)の「あ」が読まれた時点で安芸の宮島が消去され、初めて答えが松島と確定します。この(D)の部分が、この問題の確定ポイントです。

 解答者は、この答えが初めて確定する部分で早押しボタンを押すことを理想としています。解答者の立場に立ち、確定ポイントを意識して文章を練ることで、白熱した戦いを演出する良問ができあがります。

百人一首の決まり字

 似たような概念として、競技かるたの決まり字があります。

 競技かるたでは、読み手が百人一首の上の句(五・七・五)を読み、それに対応する下の句(七・七)が書かれた札を選手が取り合います。上の句を読んだ際、取るべき下の句が1種類に確定するポイントのことを決まり字と言います。

 例えば百人一首では「きみがため」で始まる和歌が2首ありますので、6文字目が読まれるまで取るべき札が定まりません。この場合6文字目が確定ポイントとなります。

同音異義語を意識する

 クイズに限らず、演説やあいさつなど、声に出して読む原稿に共通する注意事項です。

<例題6>
 カキの生産量日本一を誇る日本の県はどこでしょう?

 魚介類のカキの場合、広島県が正解となりますが、果物のカキだと答えは和歌山県となります。「牡蠣」「柿」と字で表示されれば区別が付きますが、早押しクイズは基本的に読み上げで出題されるため、魚介類、果物どちらを問うているのか区別が分かりにくいです。

 そのため、他の情報を付け加えるなど問題文を補足する工夫する必要があります。

<例題6・良い例>
①岸田文雄首相の選挙区があることでも知られる、カキの生産量日本一を誇る日本の県はどこでしょう?
(答)広島県

②温暖な気候と日照時間の長さにより、果物のカキの生産量日本一を誇る近畿地方の県はどこでしょう?
(答)和歌山県

星座?正座?

 もう1問例に出します。

<例題7>
 星座のうち、日本名だとひらがな一文字で表せるのは三つ。や座、ほ座とあとひとつは何でしょう。
(答)ろ座

 文字に起こすと全天88星座であることは明白ですが、問題文を音だけで聞くと分かりにくくなります。「正座」などへのミスリードを防ぐべく、情報を補足しましょう。

<例題7・良い例>
 夜空に輝く星座のうち、日本名だとひらがな一文字で表せるのは三つ。や座、ほ座とあとひとつは何でしょう。
(答)ろ座

まとめ

 2回にわたりまして、早押しクイズを作るコツについて紹介しました。

早押しクイズを作るコツ7選
①裏取りをする
②答えを1個に限定させる
③ジャンルを偏らせない
④「枕詞」を付ける
⑤前フリ部分にマニアックな情報を
⑥確定ポイントを意識する
⑦同音異義語を意識する

 クイズの問題も、普通の文章も、受け手の立場を考えて作成することが重要です。良問を納品することがイベントの盛り上がりにつながり、クライアントに喜んでいただける結果になればと思います。

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Posted by かく企画