最高レベルの映画 3月に出てしまった

 小説を書き続け、仮面会社員を続けている「仮面ライター」です。今回は、映画について書きたいと思います。

 もちろん、私が映画を撮っているとか、小説が映画化されたという話ではありません。いつの日かそういう話も書きたいと思っていますが、今日のお話は、映画鑑賞についてです。

 学歴も会社も頼れない時代をいつもテーマにしている「かく企画」。この回は、独立の準備や、副業へのスキルアップという直球のテーマではありません。ちょっと肩の力を抜いて読んでいただけたら嬉しいです。

映画の寸評をつけて10年

 私は約10年前から映画の寸評をつけています。緻密な分析というような立派なものではなく、大学ノートに感想を数行書く程度でスタートしました。

 年間に50本くらい見ています。映画館で見るのは年に2、3本。この数年は、新型コロナウイルス感染防止のこともあり、ネットフリックスで作品を見ています。

 最初の1年は、数行の感想のみ。そのうち、5段階評価(5が最高)を題名の横につけるようになりました。年末の楽しみは、ノートを見返して、その年のマイ・ベストを振り返ることです。

 ちなみに、小説、ドキュメンタリーリーも寸評をつけています。評価の付け方は、5段階評価から、プラスとマイナスもつけるようになり、15段階評価に変わり、寸評もこの半年は、自分なりの記述ポイントを作って書き記すようになりました。

 ちなみに、評価で「1」はなかなか出ません。なぜなら、「これは駄目だ」と思う作品は最初の30分で見るのをやめてしまうからです。そもそも、題名と概略から見るかを決めるのですが、年に1、2作くらいは、そういうことがあります。

 そんな私の映画鑑賞ですが、2023年は3月に早くも最高レベル評価が出てしまいました。

アル・パチーノ主演作品 終盤の吸引力

 作品名は、「Scent of a Woman」(邦題:セント・オブ・ウーマン/夢の香り)。1992年のアメリカ映画です。

 私にとってのその年のマイ・ベスト映画は、私がその年に見た映画なので、1990年代であろうが、2023年最新作であろうが、上映した年は関係ありません。

 話を今回の作品に戻します。「Scent」という単語は、「快いにおい」「かおり」という意味です。イギリス英語では、「香水」という意味にもなるようです。

 ストーリーをここで書いてしまうことは避けながら、高評価をつけた理由を書きます。ちなみに、評価は「5」でした。今後、「5プラス」が出たら、2023年の1位は入れ替わります。

 主演のアル・パチーノさんは好きな役者の一人です。マイケル役の「ゴッド・ファーザー」、「カリートの道」(1993年)、「フェイク」(1997年)、「アイリッシュマン」(2019年)など、彼の存在感に惹かれる作品がたくさんあります。

 作品の中盤までは、アル・パチーノ映画として、「4」くらいかなという感じでした。ストーリーはだれてはいないし、ちょっと古い映画だけどおもしろいなぁという感想でした。ところが、終盤で完全に「5」の世界に突入しました。

アメリカ映画の良さとは

 アメリカ映画の良い点は、「個人が正義のために生きる姿」を描くところです。持論ですが、そういう映画が出てくる背景には、もちろん、アメリカ人の多くがそういう姿を追い求めているからなのだと推測します。つまり、「個人に問われる正義」が、アメリカ社会では大切にされているからです。

 そういう映画が出続ける限り、日本の現代映画はアメリカのそれには商業的には、なかなか勝てないのではないかと私は考えています。

 「個人に問われる正義」というのは、一応、日本を含めた「西側諸国」の共通理念に(今のところは)なっているからだと私は考えます。

 その共通理念に対して、日本社会は、懐疑的にならざるを得ない歴史を持っているのではないでしょうか? 敗戦経験が最も強く影響していると、私は考えています。

 敗戦後もいくつかの潮目がありましたが、戦後80年近く立っても、敗戦は日本社会に影響を残し続けていると思います。少なくとも私は、「正義」を声高に叫ぶことに敏感になってしまいます。

 ただ、この映画で出てくる「正義」は、もっと私達の身近なところで問われるタイプのものです。外交政策上、アメリカ政府にとって都合の良い「正義」とか、そういう話ではありません。

 ちょっと断線して考えてみると、日本でもそういうテーマのものもあるとは思います。私の頭にすぐ浮かぶのは、「水戸黄門」や「遠山の金さん」なのですが、アル・パチーノのこの映画は、パンチ力が違います。

 もちろん、連続ドラマで毎回、人を楽しませてくれた日本作品も偉大だと思いますが、視聴者が「個人に問われる正義」というものを考えることは、あまりないのではないでしょうか。

寸評は年々進化 きっかけはデート

 寸評の付け方は、感想数行から、5段階評価が加わり、さらに15段階評価になりました。

 この半年は以下のような点を書いています。

  • 題名、上映年、国名、監督の名前、主演の名前
  • ストーリの要約
  • 良かった・好きだった点をそれぞれを3つ
  • いまいちだった点・自分が監督だったらこうしたという点を3つ
  • 良かったセリフ

 20代前半の頃は、映画を見た後にすぐに感想を口にするのが嫌でした。自分の中で数日かけて考え、感想を発酵させたかったからです。だから、人と一緒に映画館で作品を見るときは、私の性格を理解してくれる人と行きました。終わった後は、映画の話はしませんでした。今思うと、すごく面倒くさい人間でした。

 そして、この5年くらい前から、飲酒しながら見るという時がほとんどとなり、かなり大まかに感想を書いていました。作品を見た2週間後に概略を調べ直して書くなんていうこともありました。

 ところがある時、友人から一本の電話をもらい、寸評の書き方が変わりました。その友人(男)は、女の子とデート中で、ビデオで映画を見ようと思っているのに、どれにしようか迷っていました。

友人
友人

マイ・ベスト映画をメモしてるって言ってましたよね。お勧めを教えてもらえないですか

 私は自宅にいたのでノートを引っ張り出して、前年までのマイ・ベスト映画をいくつか伝えました。デート後、彼はまた電話をかけてきました。

友人
友人

作品の途中までひどいことしてくれたと思いました。こんな映画を勧めてデートをぶち壊すつもりなのかって

  人によって感じ方は違うので謝ろうとしたところ、

まさか、あんなひっくり返しがあるなんて。本当に助かりました。デートは成功でした。またお願いします

と言ってくれました。

 ちゃんと寸評を書いていれば、どういう点が良かったかもすぐに解説できたのにと気がついた瞬間でした。

 もっとも、最近は前述したように、酒を飲みながら映画を見るので、寸評を書かないと、「5」の映画でもなければ、内容を忘れてしまうことがあります。また、寸評を書くと、自分が作品に惹かれたポイントを考えるので、大切なことだと気が付きました。

 またの機会に、過去の年間1位作品についても書きたいと思います。

趣味

Posted by かく企画