「魔女の宅急便」に学ぶ フリーランスの心構え(中編) ー顧客との接し方ー
スタジオジブリのアニメ映画『魔女の宅急便』から、フリーランスの心構えを考えるお話の続き。今回は、クライアントに対する心構えを中心に書いていきます。
こんにちは、「かく企画」社長の藤田です。元新聞社勤務で、現在はフリーランスのライターをしています。
映画・魔女の宅急便は、13歳の魔女の少女・キキが修行のために生まれ故郷を離れ、知らない街で宅配便をして自活する話です。
封切りは今から20年以上前の1989年。まだ「フリーランス」という言葉が市民権を得ていないころです。テレビのロードショー番組でしばしば再放送されているので、若い世代の方でも見たことがある人は多いと思います。
前編では、キキの旅立ちから個人宅配業を開業するまでをたどり、各シーンからフリーランスの心構えについて考えてきました。
https://kaku-kikaku.com/kikis_delivery_service1
中編では、いよいよ宅配業をスタート。さまざまな登場人物とのやり取りから、顧客やクライアントに対する心構えを考えていきたいと思います。
前回のあらすじと心構え
中編に入る前に、前回のおさらいです。
主人公のキキは、古くからのしきたりに従い、相棒の黒ネコ・ジジとともに生まれ故郷を離れて修行の旅に出ます。とある海辺の街を気に入りますが、得意になって飛んでいると車にはねられそうになります。
街をあてもなくさまよう中、若い夫婦が営むパン店に差し掛かり、忘れ物を配達。そこでパン店への居候が許され、ほうきに乗って空を飛び荷物を届ける「魔女の宅急便」を開業します。
上記のあらすじより、得られた心構えは以下の通りです。
心構え① 相談できる人や心のよりどころを最低1人(または1匹)持とう
心構え② スキルがあっても謙虚に。調子に乗らず、地に足を付けよう
心構え③ 開業費、固定費はなるべく低く抑えよう
それでは、続きを見ていきましょう。
Scene4 最初のお客さま
「かわいい魔女さんね。これを届けてほしいんだけど、夕方までに間に合うかしら?」
魔女の宅急便を開業したキキに、早速顧客が現れます。近くに住むファッションデザイナーの女性で、黒ネコのぬいぐるみが入った鳥かごを甥っ子に届けてほしいとの依頼を受けました。
パン店の女将によると、この女性はパン店の得意客とのこと。すでに地域で実績のあるパン店とコラボすることで、そこの顧客を自分の事業にも誘引するという、まさに教科書通りの顧客獲得方法をとっています。
余談ですが、この案件では代金が前払い。しかも、お金を受け取ったキキはおどろいた表情で「こんなにたくさん、ありがとうございます」と礼を言っています。どうやら上客だったようです。
心構え④ 特に事業開始時は、知り合いのつてで仕事を得よう
Scene5 カラスに襲われ、ジジが犠牲に
黒ネコのぬいぐるみが入った鳥かごを配達するキキに対し、思わぬトラブルが降りかかります。突風にあおられて、お届け物のぬいぐるみを森に落としてしまうのです。さらに、巣を襲撃されると勘違いしたカラスの猛攻に遭い、ぬいぐるみを見つけることができません。
ここでキキは、予定時刻に配達を間に合わせるため、ぬいぐるみによく似た相棒のジジをかごに入れて届けるという暴挙に出ます。
ウソやごまかしは必ずしも褒められたことではありませんが、依頼されたミッションを何としても実現させようという心構えは評価に値するのではないでしょうか。
ちなみにジジは、お届け先の飼い犬にかくまわれることで本物のネコであることはばれずに済みます。緊張の余り、ジジの全身から汗を吹き出すシーンは何ともコミカルです。キキも無事ぬいぐるみを見つけ、甥っ子が気付かないうちにジジとぬいぐるみをすり替えることができました。
心構え⑤ 顧客のミッションを遂行し、期待に応えよう
Scene6 老婦人の家
場面は変わり、ある老婦人からニシンのパイを孫娘のパーティーに届けるよう依頼を受けます。キキは老婦人宅へ行き、調子の悪いオーブンを見てパイ作りを手伝ったり、しまいには家の電球を交換したりします。
ここで、この家のお手伝いさんをしている老女が登場します。この人は好奇心旺盛らしく、キキのほうきを拝借して無断でまたがるなど、魔女に興味津々。決してメインではないキャラクターからも、キキは関心を持たれているようです。
現実世界、自分では「当たり前」と思っているスキルや特徴が、他人にとっては珍しい物にうつることは多々あります。想定もしてなかった人に興味を持たれ、仕事につながることは「フリーランスあるある」とも言えるでしょう。
心構え⑥ 自分のスキルに興味を持つ人は、自分が思う以上にいる
Scene7 ニシンパイを拒絶する孫娘
キキは老婦人の依頼を受け、ニシンパイを片手に孫娘宅に向かいます。途中、突然の豪雨に見舞われますが、料理を濡らさないよう身を挺してかばいながら運んでいきます。
やっとのことで到着し、料理をお届け。みんなの喜ぶ声が聞けると思ったその刹那、孫娘からの口から非情な言葉が発せられます。
「このパイ嫌いなのよねー」
ガーン。おばあさんの好意が邪険に扱われ、ショックを受けるキキ。閉められたドアに、ジジは「べー」と2回舌を出して悪態をつきます。
老婦人の孫を思う気持ちを知っていたキキにとって、この孫の発言は信じられないものだったでしょう。しかし、それが現実なのです。
心構え⑦ 世の中には、本当にいろいろな顧客やクライアントがいる
中編のまとめ
今回、スタジオジブリのアニメ映画「魔女の宅急便」から得たフリーランスの心構えは以下の四つです。
心構え④ 特に事業開始時は、知り合いの伝手で仕事を得よう
心構え⑤ 顧客のミッションを遂行し、期待に応えよう
心構え⑥ 自分のスキルに興味を持つ人は、自分が思う以上にいる
心構え⑦ 世の中には、本当にいろいろな顧客やクライアントがいる
実際の映画は、森に住む絵描きの少女との交流や、人力飛行機づくりの夢を追う少年・トンボとのやり取りなど、他にもシーンがありますが、個人事業とあまり関係がないので端折っています。興味のある方はぜひ映画を見てください。
次回はいよいよ後編です。病気やトラブルに対する心構えや、フリーランスの自己研鑽や趣味について触れていきます。
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